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越境ECとは?市場規模や中国への越境ECを始める準備、攻略のポイントを一挙解説!

いま、世界的に注目を集めている越境EC。越境ECとはどのような特徴を持つのでしょうか。日本からも世界各国、主に中国や米国などで越境ECに取り組まれていますが、各国の市場規模や日本の越境EC進出先はどこなのでしょうか。また、これから越境ECを始めるに当たって知っておきたい、越境ECのメリット・デメリット、越境ECを始める準備、越境ECで売れる商品、攻略するためのポイントや人気のプラットフォームをご紹介します。

DATE : 2018/08/20

1.越境ECとは

越境ECとは、消費者がAmazonなどのECサイトで商品を購入したときに、その商品が海外から発送されるものをいいます。例えば、中国に在住している人が、ECサイトで購入したときに、日本から商品が発送されるということです。

つまり、海外の事業者が国外にEC店舗を構えて集客し、そこで自社の商品を、ネットを介して販売し、主に自国から国境をまたいで商品を配送します。あらかじめ現地の倉庫にストックしておき、注文が入り次第、そこから発送されることもあります。いずれにしても国境をまたいでEC販売を行うことから「越境EC」と呼ばれています。

越境ECを実施するには、越境ECサイトを自社で構築する方法やすでに海外にある越境ECモールに出店する方法、海外の代行販売業者に商品を買い取ってもらい、代行販売してもらう方法などがあります。

前述のAmazonでも越境ECを行うことは可能ですが、越境ECに特化したモールとしてはebayなどが有名です。

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2.越境ECの市場規模

越境ECの世界の市場規模は年々伸びています。国別にはどうなっているのでしょうか。
日本・米国・中国の3ヶ国間における越境電子商取引の市場規模を確認しておきましょう。

2020年の、日本・米国・中国の3ヶ国間における越境ECの市場規模は次のようになっています。

2-1.日本・米国・中国3ヵ国の越境EC市場規模

越境EC購入額伸び率
日本 3,416億円 7.6%
米国 1兆7,108億円 9.9%
中国 4兆2,617億円 16.3%

出典:経済産業省「令和2年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)」
https://www.meti.go.jp/press/2021/07/20210730010/20210730010.html

日本消費者における米国と中国の事業者から越境ECで購入された総額は3,416億円で、前年と比較して7.6%の伸び率となりました。

中国は規模が大きいですが、その内訳を見てみると、中国消費者における日本事業者からの越境EC購入額は、1兆9,499億円で、前年比17.8%、米国事業者からの越境EC購入額は、2兆3,119億円で、前年比15.1%増でした。日本事業者にとって、中国越境ECは可能性のある市場と言えます。

2-2.日本の主要な越境EC進出先

ジェトロが日本企業に対して実施した「2020年度日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査」によると、日本企業の多くが東アジアへ進出していることがわかります。

ECの活用実績がある日本企業のうち、国内から海外向けの越境ECは45.5%が活用しています。また、海外販売でEC活用実績のある企業は合計65.0%という結果となりました。

越境ECの活用率を企業規模別にみてみると、大企業は34.8%、中小企業は47.0%と中小企業のほうが高い割合となりました。

その越境ECの販売先は、中国が47.6%でトップとなり、次いで米国の36.6%、台湾の28.8%となりました。

主に日本の企業が越境ECに取り組む現状、その対象の約半数は中国というわけです。

出典:ジェトロ「2020年度日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査」
https://www.jetro.go.jp/news/releases/2021/3ae53c9f535e9263.html

3.越境ECのメリット・デメリット

越境ECに取り組むことは、メリットもデメリットもあります。それぞれ確認しておきましょう。

3-1.メリット

・市場が拡大し続けており巨大なマーケットへ進出できる
先述の通り、越境ECは年々、市場が拡大し続けており、幅広いターゲットに販売できるのは、大きなメリットといえます。少子高齢化となっており、縮小傾向にある日本市場を背景に、越境ECは大きな希望となり得ます。

・越境ECなら実店舗よりも低コストで実現できる
海外で商品を販売するとなると、専門店を現地に用意するなどすれば、コストは計り知れません。そうした中、インターネットを活用することで販売が実現するというのは手軽かつコストも大幅削減できることから、ビジネスに関するリスクも軽減されます。

・国内では越境ECサービスが充実している
近年、日本国内では、すぐに越境ECが始められるサービスが充実してきています。またサポートもあるため、そうしたサービスを利用することで、手軽かつ迅速にリスク少なく始めることができます。

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3-2.デメリット

・言語の壁がある
越境ECでは、多くの場合、言語の壁が問題となります。ECでの販売において接客やコミュニケーションの際や、商品説明や表示などに翻訳対応が必要になります。外国語の話せる人員を雇ったり、教育したり、翻訳サービスの導入など様々な対策が求められます。

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・決済方法の整備
ECで決済する手段は、国によって異なるため、出店先の国に合わせる必要があります。多くのケースではクレジットカードが使えますが、異なる場合もあります。中国ではAlipayやWeChatPayなどが主流です。各国で多く利用されている決済手段を整備することで、購買ハードルを下げ、売り上げにつながります。

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・物流の最適化
越境ECの物流は、日本よりも整備されておらず、配送業者選定や最適な配送ルート選択など最適化を行うのが困難なところがあります。配送業者によっては、日本よりも乱雑に扱ったり、配送品紛失などのトラブルも想定しなければなりません。また、日本から発送するのか、それとも現地の倉庫に一度ストックしておくのかなど様々な方法があります。いずれにしても現地の専門知識が必要になるでしょう。

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・法令遵守
対象国の法令に準ずる必要があります。食品表示や関税、輸入規制などあらゆる法令を遵守しながらECを展開しなければなりません。申請や検査が必要になることもあります。手間がかかると共に、ここでも専門的な知識が求められます。

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4.越境ECの始め方

越境ECを始めたいと思った際に、どのような準備が必要かを大まかに確認しておきましょう。

4-1.出店方法を決める

越境ECと一口に言っても、複数の方法があります。その中で一般的なのは、自社が独自にECサイトを構築する方法と、現地の越境ECモールに出店する方法の2通りです。コストや手間などを加味して選択しましょう。

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4-2.商品ごとに輸入の可否や検査の必要性などを確認する

越境ECで販売したい商品ごとに、出店先の国の輸入に際する規制事項などを確認する必要があります。例えば中国では商品によっては動植物検疫や商品検査、衛生検査が通関の前段階に実施されますし、自動車や電化製品などは中国強制認証制度(CCC認証)の認証が義務付けられています。

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4-3.商品ごとにかかる税金を確認する

日本で販売するときには消費税のみ考慮していれば良いところがありましたが、越境ECではその国の消費税に該当するものや、関税も考慮する必要があります。

例えば、中国政府が取り決めた越境ECに関する制度によると、越境ECについて、一般貿易に課税されている関税、増値税などから、一定の優待を受けられる「電商総合税」が課税されるケースがあります。そのケースとは、中国国内の購入者個人が、中国国内で登記された会社が運営する越境ECプラットフォームである天猫国際、京東国際等を利用し、国外の販売業者より、ポジティブリストに掲載されている商品に該当し、かつ個人使用目的で、関連取引、支払い、物流の電子情報を税関が監督管理できるルートを経由して商品を購入する場合です。

このようなルールも押さえておくことが求められます。

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4-4.物流を確保する

中国越境ECにおいては物流を考える際に、主に2通りから選ぶ必要があります。それは「保税区モデル」と「直送モデル」です。

保税区モデルとは、海外から発送されて持ち込まれたされたものを一時的に保税区という区域に保管する方法です。保税区にある状態の商品は、関税がかかる前の、手続き上は輸入前の状態となります。つまりまだ日本国内にあるのと同じということです。その保税区にある商品に対して、中国の越境ECサイトで注文を受けた場合は、この保税区にある商品を梱包して発送準備を行い、その後ではじめて通関を通って注文者の元へ配送されます。

保税区モデルにも2種類があります。今ほどご説明した形式は、「備貨式」と呼ばれるもので、中国税関が指定する区域に商品を保管し、中国国内に配送します。一方で、「集貨式」という形式もあり、これは中国以外の国にある倉庫に商品を保管し、注文が入った後に発送されます。集貨式は、日本国内に倉庫を構えることもあります。

これらのいずれかの方法を選択する必要があります。

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4-5.集客方法を比較・検討する

越境ECに取り組む際には、ただ出店して物を販売するだけでは継続的に売り上げることはむずかしいといえます。まずは出店先の国の消費者に認知してもらい、商品や自社ブランドの魅力を伝えなければなりません。そのためにはマーケティングやプロモーション活動を実施し、集客やファンづくりを行うことが重要です。

越境ECの主な集客方法として、SNSやブログなどで消費者に有益な情報を発信することで長期的なファンづくりを行うコンテンツマーケティングや、SNSで自社の商品やサービスを利用したユーザーが口コミを発信するのを促すようなSNSマーケティング、インフルエンサーを起用して自社の商品やサービスの魅力をSNSで伝えてもらうといったことが考えられます。

また広告施策も有効ですし、最近では動画を活用したプロモーションも多く成功事例があります。例えば日本企業が現地の社会現象を題材にしたテーマで動画を制作、配信して、現地消費者の共感を生むといったケースで拡散し、何百万回再生されたという事例は多くあります。

集客方法は現地に合った方法を選択することが欠かせません。そのためには、まず現地の消費者のニーズやインサイト、生活などの実態をリサーチすることが重要です。

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5.越境ECで売れる商品

では、日本からの越境ECでは、何が売れているのでしょうか?

一般的に日本は世界からみると、その製品は高品質であるといわれています。このことから他国の消費者は日本製品の品質の高さを買っていると考えられます。またブランドについても広く認知され、高く評価されています。

5-1.中国越境ECで売れている商品

経済産業省が「令和2年度 産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)」内で発表しているデータによると、中国の消費者が越境 EC で購入している商品のランキングは次の結果となりました。

第1位 化粧品・美容関連製品 40.6%
第2位 トイレタリー 38.2%
第3位 健康商品 35.8%
第4位 食品・飲料 32.1%
第5位 家電 26.7%
第6位 衣料・バッグ 25.2%
第7位 ベビー用品 23.0%
第8位 家庭用品 19.1%
第8位 スポーツ・アウトドア用品 19.1%

出展:経済産業省がiiMedia Research, "2019 China Cross-Border Ecommerce Development TrendsResearch Report," Dec 25, 2019 をもとに作成
https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/statistics/outlook/210730_new_hokokusho.pdf

中国では、化粧品・美容関連製品やトイレタリー、健康商品などが人気のようです。

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また、コロナ禍における中国ECに関していえば、「Euromonitor International, February 2021」のデータによれば、EC市場規模の前年比伸び率において、最も伸びていたのが「家具、建材、ガーデニング用品等」で43.0%、次いで「化粧品」で30.0%、「食品」28.1%、「アパレル」26.7%と続いています。コロナ禍の外出自粛の巣ごもり需要で、家を充実させる商品の需要が高まったと見られています。この状況も踏まえることも重要といえそうです。

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5-2.米国越境ECで売れている商品

米国の越境ECでは、複数の調査を見てみると、日本のおもちゃやゲーム、ファッション、音楽、コミック、アニメ関連のグッズなどが人気といわれています。また、自動車やオートバイについてもその品質の高さが評価されているのか、多く販売されているといわれています。

6.越境ECを攻略するポイント

これから越境ECを始める際には、ぜひポイントを押さえて実施しましょう。

もし越境ECを攻略して自社商品の売り上げをアップさせたい場合、日本企業はどのようなことでつまずいているかということをよく理解しておくことで、成功につながりやすくなると考えられます。

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6-1.越境ECのよくある課題を知る

ジェトロが実施した「2016年度日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査」では、越境ECにおける課題として次のことが上位になっていました。

「決済システムの信頼性」(回答企業数の25.2%)
「商品配送に係るリスク」(同24.2%)
「必要な人員の不足」(同21.1%)
「現地語への対応」(同21.0%)
「制度や規制に関する情報不足」(同21.0%)

異国での決済と販売においては、やはり決済システムや商品発送については勝手が違うことから、信頼性やリスクについては注意を払う必要があるようです。

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また、特に中国越境ECにおいては、日本企業の強みを保持すべく、商品の付加価値の高さを保つための配慮やブランドの知的財産権などの権利保護に留意が必要とされています。

6-2.信頼できるパートナーを得る

また出店先の国の市場をよく知る、信頼できるパートナーを確保することが効率的であるともいわれています。

例えば、中国越境ECに取り組む場合には、越境ECモールに出店する際などに国内ベンダーのサービスを利用することが多いですが、そうしたベンダーの中には中国市場に詳しい担当者が存在するものです。そうした担当者によく話を聞き、施策に活かすことも重要といえます。

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6-3.中国における越境EC利用者像

調査データや統計データから、越境ECの利用者像を具体的に知り、イメージするのも重要といえます。

三菱東京UFJ銀行(2017年当時) 中国投資銀行部 中国調査室の2017年8月22日付けのレポートによると、中国における越境EC利用者像が示されています。

性別では男性が62.6%、女性が37.4%を占めており、越境ECは男性のほうが多くなっています。商品別でみると、男性はデジタル用品、スポーツ用品、健康食品が人気である一方、女性は衣類、化粧品、ベビー・マタニティー用品および「軽奢侈品」に人気が集まっているといいます。

またiiMedia Researchのデータによれば、2019 年の中国の越境 ECユーザーは、一、二級都市の個人月収5,000元以上、30歳以下の若年層がメインとされています。

また中国EC大手のアリババグループのアリババジャパンによると、中国では商品選定の際、中間所得層は安全と品質にこだわる傾向が見られる一方で、若者層はインフルエンサーやトレンドの影響、ライフスタイルへのこだわり、新しい体験を求める傾向があるといいます。

中国越境EC商品を消費者が選定するときに重視することは、「正規品であること」が最も多く、全体の7割以上を占めていることがわかっています。偽物が横行する中国ならではの特徴といえます。

7.中国越境ECにおける人気のプラットフォーム

中国越境ECを実施する際に、よく出店される人気のプラットフォームをご紹介します。

iiMedia Researchが発表したレポート「2021年世界および中国の越境EC運用データ典型企業分析研究報告」によれば、2021 年の越境 EC 輸入小売のプラットフォーム別シェアの予測値は、「天猫国際(Tmall Global)」で26.7%、次いで「考拉海購(コアラ / Kaola)」で22.4%、次いで「京東国際(JD Worldwide)」で11.3%、「蘇寧国際」で11.2%の順となっています。

ジェトロがAlibaba Japan など公開情報をもとに整理・作成した情報によれば、シェア上位を占める3サイトは次の特徴があります。

7-1.天猫国際

中国最大規模の越境ECプラットフォームであり、他企業から商品を仕入れて一般消費者に販売するB2B2C型と、企業が自ら出店するモデルを組み合わせた販売手法を提供しています。利用ユーザーは、安全と品質にこだわる中間所得層や、ライフスタイルやトレンドにこだわる30歳以下の若い消費者が中心です。

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7-2.考拉海購

越境EC保税倉庫面積は最大規模で、中国各地に保税倉庫を保有しており、 配送の速さが特徴で、企業が自ら出店する直営モデルに強みがあります。高い購買力を持つ女性のミドルクラス層に強く、約80%が女性客であり、特に19〜35歳の購買力が高いミドルクラスが多いとされています。

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7-3.京東国際

独自の物流ネットワークによる配送スピードの速さをほこり、他の企業から商品を仕入れて一般消費者に販売するB2B2C型と出店形式の両方を提供。正規品保証による商品の信頼性の高さとデジタル製品・家電に強みのある特長があります。

8.まとめ

越境ECについての概要と共に、これから越境ECに取り組む際に知っておきたい、各国の市場規模や日本の越境EC進出先、メリット・デメリット、始める準備、越境ECで売れる商品、攻略するためのポイントや人気のプラットフォームをご紹介してきました。越境ECは日本企業にとって大きな期待が寄せられる一方で、ハードルが高い部分もあります。

中国への越境ECに取り組む際には、JC Connectが提供する越境 EC 構築システム「ShopCN(ショップシーエヌ)」を利用することで、越境ECのハードルを大幅に下げることが可能です。

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