1. 中国のオンライン決済の歴史
現在中国ではモバイル決済が非常に普及しており、EC、リアル共に多くの店舗が対応しています。中でも、中国のECにおけるオンライン決済手段には次のような歴史がありました。
中国の中央銀行に当たる、中国人民銀行主導により設立されたデビット/クレジット決済ネットワーク運営会社は、2002年に「銀聯(ぎんれん)」カードを誕生させました。中国全土の銀行を結ぶ決済ネットワークが構築され、手軽にカードで決済ができるようになったのです。銀聯カードは銀行口座に紐づけられており、カードで支払いするのと同時に銀行口座から引き落としがされる仕組みです。
そして2004年に「Alipay(アリペイ)」がオンライン決済の一手段として誕生しました。中国EC最大手のアリババグループがオンラインモール「淘宝网(タオバオワン)」の公式決済として作ったのがはじまりです。その後広がりを見せ、ECだけでなく公共料金やレストラン、店舗でのショッピングなどのリアルのあらゆるシーンで決済できるようになりました。
そして2013年には、テンセント社によるメッセージングアプリ「WeChat(微信・ウィーチャット)」の決済プラットフォームとして「WeChat Pay(ウィーチャットペイ)」が登場します。以後、中国ではモバイル決済がECはもちろん、リアル店舗等でも多く取り入れられるようになりました。
日本企業が中国越境EC市場で売り上げ増大を目指すなら、今多くのシェアを占めるモバイル決済対応は欠かせません。
2. 中国越境ECの主なオンライン決済4選
ここで、中国越境ECで多く利用されている4つのオンライン決済手段をご紹介します。
2-1. アリペイ(Alipay/支付宝)
アリペイは、中国のモバイル決済市場では約50%のシェアを誇るといわれており、越境ECにおけるオンライン決済手段としてもまだまだ強い決済手段です。あらかじめ銀行口座を紐づけておくことで、デビットカードと同様に決済が終わったと同時に、銀行口座から現金が引き落としされる仕組みです。
「エスクロー」という、商品が手元に到着してからはじめて決済が行われる方式を取ったことで絶大な人気を集めたといわれています。それはECで商品を購入するユーザーの立場からすれば、安心できる方式です。フローとしては、まずECの利用ユーザーが、決済会社を通して代金を支払う仕組みで、商品がユーザーの手元に届き、商品に問題がなかったときにはじめて決済会社から販売者へ代金が支払われます。このように、中国ECではしばしば起こりがちな「支払いは済んでいるのに商品が届かない」という問題を解決する仕組みであることが、爆発的に広がった理由といわれています。
2-2. WeChat Pay(ウィーチャットペイ/微信支付)
WeChat Pay(ウィーチャットペイ/微信支付)は、WeChat(微信・ウィーチャット)のオンライン・モバイル決済サービスです。
こちらもアリペイ同様モバイル決済ができ、ECでの利用の他、リアル店舗での決済も可能です。近年順調にモバイル決済市場でのシェアを伸ばしており、アリペイとほぼ同程度のシェアを持っています。
WeChat Payもアリペイと同様に、ユーザーがあらかじめ銀行口座を登録しておき、決済と同時に口座から引き落とされる仕組みです。
WeChat Payは、WeChat(微信・ウィーチャット)の公式アカウントを持っている企業にとって集客・ファン育成にもつながります。なぜなら、WeChat Payで決済をするとWeChat(微信・ウィーチャット)の公式アカウントについてフォローを促すことができるためです。ただ支払いを促すだけでなく、フォロワーを獲得できるチャンスにも恵まれるというわけです。
2-3. 銀聯(UnionPay)
中国国内の銀行で口座開設すると発行されるキャッシュカード「銀聯カード」は、デビットカードとして利用ができます。例えばECの銀聯加盟店で決済時に利用すれば、銀行口座から即時引き落とされます。リアル店舗での利用が多いものの、中国越境ECにおけるオンライン決済でも多く利用されています。
モバイル決済が活性化しているとはいえ、いまだに銀聯は根強く残っています。決済手段としては必須といえるでしょう。
2-4. クイック支払い
クイック支払いとは、アカウントに金融機関のキャッシュカードの番号を紐付けておき、パスワードの入力で支払いが完了するものです。これも基本的にはデビットカードと同じ仕組みです。これも利用者が比較的多いといわれています。
3. まとめ
中国ECにおいて利用されているオンライン決済方法は複数ありますが、現在では主に第三者決済のアリペイやWeChat Payの利用が多くなっています。中国越境ECで売り上げ増大や顧客との関係強化を目指している場合は、今主流になっている決済手段を越境ECで導入することは大きな前進となります。