1.中国のO2O事情
中国ではいま、O2Oが非常に人気です。
O2Oとは、オンライントゥオフラインのことで、例えばECの店舗からオフラインの実店舗に誘導するといったことがよく行われています。近年、中国でさかんになっているものをご紹介します。
1-1.オンライン連携のスーパー展開
ネット通販上位のアリババ社は、積極的にO2Oを展開しています。特に自ら立ち上げた「盒馬鮮生」という生鮮食品を取り扱うスーパーは、非常に斬新で注目を集めているのです。
盒馬鮮生は一見、普通のスーパーに見えて、実はオンライン注文も受けており、オーダーを受けると、店舗のスタッフが店内の品を集めて、スーパーから3km以内の場所に30分ほどで配達します。
ユーザーはスマートフォン上からアプリで実店舗へと注文ができる、便利なO2Oサービスです。
1-2.オフラインの無人コンビニ
スーパーだけでなくコンビニも発達しています。
海外輸入商品販売サイトであるECサイト「豊趣海淘(fengqu.com)」は、「Wow!」という無人コンビニを立ち上げています。この無人コンビニで取り扱っているのは、海外から正規輸入したものが多くを占めているといわれています。越境ECの商品が実店舗で、しかも無人店舗で手に入れられるというのは新しい取り組みといえそうですね。
1-3.美団点評の取り組み
中国には「美団点評」というO2Oサービスの大手企業が存在します。もともと中国において飲食店のレビューや宅配事業などを展開していましたが、2018年3月より配車事業もスタートさせました。次々と有力なO2Oサービスをリリースしており、今後も目が離せません。
2.日本企業のO2O施策
日本企業も負けてはいません。中国人ユーザーに対してECプラットフォームを提供しながら、日本の実店舗へと誘導する取り組みも活発に行っています。
2-1.博報堂 CyberGOのO2O施策
博報堂は、2015年2月に、中国企業Cybermart Groupと共同開発した訪日中国系観光客向けO2Oソリューション 『CyberGO』の提供をしています。これもO2O施策の一つです。
これは簡単に言えば、近年、爆発的に増えている訪日観光客を、顧客企業の店頭に送客促進するO2Oソリューションです。CyberGOというアプリでは、日本を訪れる中国人観光客に対して、例えば、ドラッグストアや家電量販店で使用できるクーポンを配布します。また、無料でWi-Fiルータを貸し出すサービスも行っているそうです。ルータ貸し出しの際に、同時にアプリも提供することで、有意義に日本滞在を過ごしてもらえるというわけです。
2-2.ユニクロのO2O施策
日本でも人気のアパレルブランド「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングも、O2O施策を実施していることで知られています。ユニクロは中国で非常に注目を集めるブランドであり、独身の日である11月11日に、中国EC全体において大セールが行われる中、毎年さまざまな個性的な販売戦略を立てプロモーションを実施しています。
中でもある年はオンラインで買ったものを実店舗で受け取ると割引になるサービスを展開しました。まさにO2Oの施策といえます。
3.O2Oの今後
中国におけるO2Oは、日本よりも当たり前のようになっているところがあり、もはやO2Oで攻めても将来性が少し劣るということもいわれています。
なぜなら、クーポンなどを大量に投入しても、結局は一時的なユーザーが増えるだけで、本来のリピート客やロイヤルカスタマーにつながらないという懸念もあるためです。
とはいえ、中国ではO2Oのフードデリバリーに人気が集まっていることもあり、O2Oはさらに発展していくとみられています。
4.まとめ
中国でさかんに行われているO2Oの状況はいかがでしたでしょうか。O2O施策は短期的な売り上げアップに有効であることが分かっています。並行して、顧客のリピーター化や囲い込みなどの長期的な施策にも取り組んでいきたいものです。