1.越境ECの市場規模
越境ECの市場規模はいま、どのようになっているのでしょうか。
経済産業省のデータによると、平成29年において、日本、米国、中国の3か国間における越境ECの市場規模は、次のようになっています。
(単位:万円)
出典:経済産業省「日本・米国・中国の3か国間における越境電子商取引の市場規模」
http://www.meti.go.jp/press/2018/04/20180425001/20180425001.html
特に目立っているのは中国です。中国人消費者は、日本事業者からも米国事業者からも共に1兆円を超えた額を購入しています。世界的に見て、非常に市場規模が大きいといえます。
一方で、日本の越境ECの市場規模は、中国・米国に比べると小さいといえます。
2.越境ECの現状と課題
2-1.越境ECの現状
このような中、ジェトロが実施した2016年度日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査によると、大企業も中小企業も中国で販売する企業が最も多い割合を占めており、次いで米国となっています。
2-2.越境ECの課題
越境ECに取り組む日本企業にとって、どのような課題があるのでしょうか。具体的にみていきましょう。
先述のジェトロのアンケート調査で、課題として多くの回答者があったのが、次の5種類でした。
・「決済システムの信頼性」(25.2%)
・「商品配送に係るリスク」(24.2%)
・「必要な人員の不足」(21.1%)
・「現地語への対応」(21.0%)
・「制度や規制に関する情報不足」(21.0%)
日本と比べると、決済や配送といった面はやはり大きな課題となっているようです。また、コミュニケーション面の工夫も越境ECでは欠かせなくなっています。
【参考】
3.越境ECに対する国内企業の動き
このような中、多くの日本企業はすでに越境ECを活用し、数々の業績を上げています。
3-1.日本の商店が中国人スタッフを雇いメール対応
日本の地方のお土産を中国人向けに越境ECで販売する際、中国人消費者とのコミュニケーションに困ったある企業は、中国人スタッフを採用してきめ細かなメール対応をしてもらうことで、体制を整え、売り上げアップの成果を挙げています。
3-2.日本の実店舗での買い物後、帰国後に越境ECで購入を促す
越境ECサイトで商品を販売するにあたり、日本の実店舗でまず購入してもらってから、帰国後に越境ECで購入をリピート購入してもらうといった手法で成果を挙げている会社もあります。
3-3.積極的にプッシュをして売る
いくら日本の商品が優れていたとしても、高品質で信頼があったとしても、それが直接売り上げに反映されるわけではありません。中国人の特徴的として、口コミなどの情報を非常に重視します。積極的に企業やブランド認知をはかり、SNSアプリなどを用いてユーザーそれぞれにプッシュをしかけていくことこそ、中国における越境ECで売り上げを挙げていくコツといえます。
4.まとめ
中国では今、越境ECが急速に伸びており、市場規模も拡大しています。日本企業が商品を売っていくためには、中国越境ECに参入し、積極的に展開していくことが重要です。
また、すでに参入している日本企業が抱える課題を知り、出店前からそれらの課題に対して準備をしておくことは、これから越境ECに取り組む企業にとって重要なことといえます。