1.中国人たちの日本に対する良い評価
よくニュースなどで取り上げられるのは、中国人たちの日本製品に対する良い評価です。例えば、化粧品や電化製品など、日本製品は品質がよく、細部にまできちんと配慮がされている、使う人の立場に立って設計されているなどというのはよくいわれることです。
そもそも、中国人たちは日本や日本製品に対してどのようなイメージを持っているのでしょうか。2017年12月付けの日本貿易振興機構(ジェトロ) 海外調査部中国北アジア課「中国の消費者の日本製品等意識調査」によると、中国の消費者たちが日本、中国、米国をはじめとした世界9ヶ国に対して持つイメージについて、日本は「エコ(省エネ・環境にやさしい)」、「サービスが良い」「礼儀正しい」の3つの分野で、米国や英国、ドイツ、中国などよりも高く、トップになっていました。この結果はいずれも2013年以来、5年連続第1位だそうで、すでにこうしたイメージが定着していることが分かります。
2.中国人たちが越境ECで商品を購入する理由
ジェトロの同調査では、近年、越境ECでも中国人たちは日本製品を購入する人が増加しているという結果が出ています。このような中、なぜ越境ECで日本製品を購入するかの理由として2017年8月の情報では「中国内では販売されていない製品だから」44.4%、「訪日時に気に入った製品だから」40.4%、「偽物ではないから」32.4%、「価格が安いから」30.1%の順で高くなっているというデータが見られました。
総合すると、日本製品であることのメリットと共に、訪日後のリピート購入が理由となっているようです。リピート購入するということは、実際に使ってみて気に入ったと考えられます。そこにはやはり日本製品としてのメリットを感じているのかもしれません。
3.中国人たちの日本製品に対するマイナス評価
一方、中国人たちの日本製品に対するマイナス評価にはどのようなことが挙がっているのでしょうか。
ジェトロの同調査では、「日本製品を選ばず、外国製品を買った理由として最も大きかったこと」として次のことが上位になっています。
第1位 使い方、機能、効能がわかりにくかった 27.1%
第2位 値段が高すぎた 17.1%
第3位 日本製品以外に好きな外国ブランドがあるから 9.1%
第4位 安全性に不安があった 8.6%
第5位 ストーリー性がなかった 8.3%
中国人にとって日本製品の中には、そもそもどう使うのか、どんな機能なのか、どんな効果が得られるのかよく分からないものもあるようです。これは、良い評価としてよく聞く日本製品ならではの品質の高さや細かい配慮に基づく機能の豊富さなどが裏目に出てしまった結果とも読み取れます。
4.観光庁が「コト消費」を促す方針にも注目
日本企業にとって、これらの中国人による評価をプラス、マイナスどちらも受け止めて施策や戦略を練ることが求められます。それに加えて、訪日中国人については、新しい消費の形も注目したいところです。
かつての訪日中国人による爆買いが静かになっていることを受け、国はより旅行消費額の上積みのために「体験型観光」の活性化を促す方針を固めています。これは、爆買いに代わる、「コト消費」へのシフトが想定されています。
体験型観光には、例えば日本の伝統工芸の鑑賞・制作体験、自然景観の鑑賞、歴史建造物への訪問、地元の特産物を収穫する体験、スキーなどのレジャー体験などがあります。
今後、日本製品を国内店舗や越境ECで取り扱うに当たり、こうした「コト消費」「体験型」の流れをとらえながら実施してくのがよさそうです。
5.まとめ
中国人たちは、日本製品に対して高い評価を持ち、特に日本製品ならではの品質の高さや配慮の行き届いた点などへ高い評価を示しています。しかし一方で、ネガティブな評価もあり、今後参考にしていきたいところです。