中国人たちの日本の商品の購買ルートにおいて、欠かせないのが「買い物リスト」の存在です。この中国人たちが作成する買い物リストとはどのようなものなのでしょうか。中国ECで購買を高めるためには、買い物リストの攻略は欠かせません。
そこで今回は、中国人たちの買い物リストの特徴や、その買い物リストに自社商品が載るためのポイントをご紹介します。
1. 訪日中国人と中国ECとの関係
訪日中国人の数は年々、伸び続けています。日本政府観光局(JNTO)による2017年の訪日外客数のデータによると、2017年は10月時点ですでに前年比18.3%の伸び率となっています。また実際の中国からの訪日客数の数値を見てみると、2015年の約499万人から2016年の約637万人へは、約138万人増えており、伸び率は27.6%になっています。
こうした増え続ける訪日中国人たちをターゲットにすることは、今後も日本企業にとって有益と考えられます。そしてこれらの訪日中国人たちをターゲットとしたいのは、インバウンドプロモーションにおいてだけではありません。中国ECのプロモーションを実施している企業にとっても注力したい領域です。
なぜ訪日中国人と中国ECが関係しているのでしょうか。それは、トラベラーズ・ジャーニーが2015年に行った「中国人訪日旅行客買い物リスト&ビークル調査」から分かります。
この調査によると、訪日中国人たちのうち、95.1%が「買い物リスト」を作って日本へ買い物に来ているそうです。また、その買い物リストに挙げた商品の74%が購入されていることが分かっています。
中国ECと関係がある理由は、訪日中国人たちは「買い物リスト」に商品を追加するために、日本に訪れる前にSNSやインターネットを通じて商品について情報検索することにあります。
2. 訪日中国人たちの買い物リストの特徴
訪日中国人たちの買い物リストに載ることはもちろん、彼らの情報収集の過程で何らかの有益な情報を示すことで、自社の越境ECからの購買も高まると考えられます。中国ECプロモーションを行う立場としては、その買い物リスト作成の過程である情報収集フェーズに積極的にかかわることが重要と言えます。
まずは買い物リストの特徴からみていきましょう。
2-1. 買い物リストに書かれていること
トラベラーズ・ジャーニーの調査では、中国人たちは手書きやスマートフォンのメモなどに買い物リストを作成し、そこには商品名、商品の写真、価格などが書かれているといいます。
2-2. 買い物リストのための情報収集の開始時期
買い物リストを作り始める時期は、個人旅行の場合、旅行に出る約1ヶ月前から直前までの期間に集中しています。一方、団体旅行では1年前から3ヶ月前から、早期に取りかかり、何を買うかを決めていることが多いようです。
2-3. 買い物リストに載る商品
買い物リストに載る具体的な商品ジャンルは、1位:化粧品(56.6%)、2位:家電製品(48.8%)、3位:衣服(42.0%)となっており、以下、スマートフォン・タブレット、装飾品・宝飾品、お菓子などが続きます。
3. 買い物リストに載るための方法
では、こうした買い物リストの商品に率先して選ばれるためにはどうすればいいのでしょうか。まずは彼らの情報源を知ることが先決です。同調査で分かった、最も多く活用されている情報源のサイトを下記に示します。
SNS:WeChat(微信・ウィーチャット)、Weibo(微博・ウェイボー)
検索エンジン:百度(Baidu)
Eコマース:天猫(Tmall)、淘宝網(タオバオワン)
特にEコマースにおいては下記の順位となっています。
1位 天猫(Tmall) 27.2%
2位 淘宝網(Taobao)26.2%
3位 京东(JD.com)20.2%
4位 amazon 14.8%
これらの情報源を考えると、SNSの公式アカウントを作成し、公式ぺージからの情報発信や広告プロモーションを実施したり、百度(Baidu)での広告出稿したりするころでも効果的に訴求ができるでしょう。
Eコマースに関しては、越境ECの天猫国際、淘宝網(Taobao)、京東全球購(JD Worldwide)などへの出店も、もちろん買い物リストへの追加促進、販売促進にもつながります。
また、商品を日本の実店舗で買ってもらうことを促進するだけでなく、「ECサイトでも買えますよ」「わざわざ日本で買う必要はないですよ」といったメッセージも合わせて伝えることで、インバウンド、越境ECどちらも有益な結果になると考えられます。
4. まとめ
中国ECで購買を高めるには、訪日中国人の買い物リスト作成時に自社の商品情報が目に留まるよう、SNSや検索エンジンでの情報発信をしたり、越境ECに出店してみるなど、買い物リストに載る可能性を広げていきましょう。