1. 日本の食品メーカーが活用する中国越境ECプラットフォームとは
「豌豆(ワンドウ)プラットフォーム」とは、Inagora(インアゴーラ)株式会社による中国越境ECプラットフォームです。日本企業が初期費用も固定費もなしで、中国人向けに商品にまつわる情報の翻訳のほか、物流や決済、販促活動などをトータルで代行してもらえるサービスです。
これまで越境ECといえば翻訳から商品のラベル張り替えのほか、物流や決済手段、マーケティング活動を通した顧客コミュニケーションなどあらゆる一連の作業が必要でした。しかし、このサービスを活用することで、日本企業は中国の倉庫に商品を配送すれば越境ECが実現します。
また、同時に日本商品特化型ショッピングアプリ「豌豆公主(ワンドウ)」も用意されており、取扱商品は中国で人気のアイテムをはじめとした約27,500商品(2017年6月現在)となっています。日本商品の魅力を伝えるコンテンツやSNS機能による拡散機能も用意されています。
2. 中国越境ECへ参入する方法
これまでの中国越境ECへ参入するには、大手ECモールの天猫Tmallや京東商城(JD.com)などが展開する国際バージョンのTmall国際やJD Worldwideなどに出店する方法があります。しかしながら、日本企業にとって費用や審査などハードルが高いのも事実です。代行業者はありがたい存在であり、ハードルを下げてくれます。
豌豆(ワンドウ)のような中国越境ECプラットフォームは、中国にもあります。例えば海外商品の代理購入サービスのほか、中国の大手インターネットサービス会社が運営する「Kaola.com(網易考拉海購)」という越境ECサービスなどです。
このような中、中国越境ECプラットフォームは便利でありながらも、業者とのリレーションシップが欠かせません。その点、日本発という点で安心して利用できるようです。
3. 豌豆プラットフォームを活用した各社の取り組み
実際、カゴメや味の素はどのようにこのプラットフォームを活用しているのでしょうか。少し覗いてみましょう。
3-1. カゴメ
2017年6月にInagora(インアゴーラ)株式会社と協業を始めたカゴメ。すでに越境ECには乗り出していましたが、このたび豌豆(ワンドウ)で初めて中国向けにトマトケチャップの販売を決めました。
取り扱う主な商品としては、トマトケチャップの他、主力商品であるトマトジュースや野菜ジュースなど。メインターゲットは健康を気にする20~30代のママをはじめとした女性としています。
3-2. 味の素
味の素は、中国ユーザー向けショッピングアプリ「豌豆公主(ワンドウ)」に2017年6月に出店し、カゴメ同様、健康路線と共に「時短」ニーズにもアプローチしています。まずは手はじめにマヨネーズやだし、鍋用のだしなど、約10種類を販売スタートしました。日本の食文化を中国に浸透させる目標を達成させるためにも、さらなる商品数増加を計画しているといいます。
4. まとめ
中国への越境ECには、ハードルが高い側面があります。しかし、こうした日本発のサービスが登場したことから、今後、他企業も新しいプラットフォームを出してくる可能性もあるでしょう。こうしたプラットフォームが整ってくれば、企業はますます今後、中国人ユーザーの購買分析やプロモーションなど、本来、力を入れたいところに注力できるのではないでしょうか。