1. 日本の育児グッズが中国で人気の理由
中国人の子育て中のママは、中国の現地で越境ECを利用し、日本の育児グッズをよく購入していることが分かっています。
リクルートライフスタイルの出産・育児に関する調査・研究機関「赤すぐ総研」が2016年に行った「中国人ママの育児用品の購入に関する調査」によると、越境ECは「よく利用する」が23.2%、「たまに利用する」63.5%と、合計90%近くが越境ECを利用していることが分かっています。
その理由としては「品質が高い商品が多い」「安心・安全な商品が多い」が多く、越境ECにおける日本製マタニティ・育児用品の中でも関心のある商品は「ベビースキンケア」がトップで50%、「ベビー服」が44%となりました。
日本の育児グッズは特に中国人ママに好まれているようです。
2. マタニティ・ベビー用品市場の動向
中国では、2016年1月に一人っ子政策が廃止され、二人まで子どもを持つことができるようになったことから、新たなフェーズに入っています。つまり、これからどんどんマタニティ・ベビー用品市場が拡大していく可能性があります。
2017年4月に発表された21世紀経済研究所と京東商城の報告書によると、中国のマタニティ・ベビー市場は、今後、年平均16%以上成長し、市場規模は2020年には4兆元(約64億円)にも達すると予測されています。
3. 日本のマタニティ・ベビー用品メーカー各社の取り組み
このような中、日本企業はますます質の良い商品を開発・販売し、中国のマタニティ・ベビー市場に乗り出していくと考えられます。すでに有名メーカーは中国越境ECに乗り出しています。
3-1. ピジョン
ベビー用品全般を取り扱う日本メーカーであるピジョン株式会社は、中国事業において「哺乳器・乳首」の販売がECを中心に好調だったと2017年6月に公表しています。中国事業における売上高は前年同期比15.7%増の71憶3,300万円でした。
そして今後も引き続きECに力を入れ、さらにWeibo(微博・ウェイボー)やWeChat(微信・ウィーチャット)などのSNS活用で“直接的な”消費者とのコミュニケーションの活性化による越境EC事業拡大を見込んでいるといいます。
2020年へ向けて、売上高は305億円(2017/1期)から390億円(2020/1期)へと見込んでおり、哺乳器・乳首は売上39%UP、新商品の投入は毎年行い、紙おむつの成長については売上9億円(2017/1期)から35億円(2020/1期)を目指すと公表しています。
また、ECチャネルの成長に対応した販売・流通体制と消費者コミュニケーションのさらなる強化、ターゲット病産院との関係強化、SNS活用によるピジョンファン拡大といった計画も打ち出しています。
3-2. 赤ちゃん本舗
2017年4月に越境ECに参戦したばかりの株式会社赤ちゃん本舗は、越境ECプラットフォーム「京東全球購(JD Worldwide)」に出店しました。かねてから日本の店舗には中国人客が約半数を占めているとのことで、特段、中国人を相手にするのは初めてのことではないことがうかがえます。
越境ECにおいては、観光などで日本に訪れた店舗利用者に継続購入を促しています。取り扱う商品は約200点で、マタニティグッズ、新生児・乳児向けのインナー、育児向け雑貨、衛生紙用品など、中国人に人気の商品を踏まえたラインナップにしているといいます。商品は日本から直接中国へ配送しています。
4. まとめ
一人っ子政策廃止により、注目を浴び続けている中国マタニティ・ベビー用品市場。今後はますます中国人ママたちの生活に即した、SNS活用などのダイレクトコミュニケーションが肝になりそうです。