近年、中国越境ECが活性化しており、日本企業も数多く中国越境ECへ参入しています。その中国越境ECでは、どのような人が多く利用しているのか気になっていませんか?
そこで今回は、中国越境ECでよく購入しているユーザー像を見ていきましょう。
1. 中国越境ECにおける利用ユーザー
1-1. 中国越境ECの利用者数
中国の調査会社iiMedia Research社の2018年のレポートによると、中国越境ECの取引額は9.1兆元、日本円にすると約136兆円にも上っています。
また同調査では、越境ECサイトを利用する中国人の数は、2018年で1億人を超え、年々、順調な伸びを見せています。
今後も増加が続くと予測されており、ますます中国越境ECは活性化する見通しです。
1-2. どんな層が利用している?
では、中国越境ECでは主にどのようなユーザー層が利用しているのでしょうか。
バイドゥ株式会社が、2018年10月24日から11月8日、北京市、上海市など中国在住の中国人2,000人を対象に、中国国内における越境ECサイトの利用実態に関するアンケート調査を実施した結果から探ってみましょう。
越境ECサイト利用経験のある人たちに対して「あなたは越境ECサイトでどこの国の商品を購入することがありますか。」と尋ねたところ、日本は58.0%でトップとなり、次いで韓国で52.5%となりました。
日本商品は男性より女性のほうがよく購入されており、女性の中でも北京・天津在住者が最も多く、いわゆる大都会に住む女性たちに多く利用されていることがわかります。
また日本商品を購入した人たちの世帯年収は、「30万元から40万元未満」が最も多くなったことから、年収は中間層に多いようです。
2. どのようなものを買っている?
「PayPal and Ipsos,”PayPal Cross-Border Consumer Research 2016”」によれば、中国人消費者の越境EC利用における売れ筋商品の1位は同率で「アパレル、靴、アクセサリー」「化粧品」がランクインし、それぞれ55%を占めています。
そして3位は「食品、飲料、アルコール」で44%、4位は「コンピューター、タブレット、モバイル電子機器」で36%、5位は「旅行」33%となっています。
やはり女性利用者のほうが多いからか、ファッションやメイク・スキンケアに関する消費が多いです。
3.中国越境ECプラットフォーム
3-1. 人気の中国越境ECプラットフォーム
ところで、中国人消費者たちは、どのようなプラットフォームで買い物をしているのでしょうか。複数ある越境ECプラットフォームのうち、iiMedia Research社の2018年の調査では、次の順で利用頻度が高い結果になっています。
1位「網易考拉海購(Kaola.com)」28%
2位「天猫国際(Tmall Global)」25%
3位「京東全球購(JD Worldwide)」13%
4位「唯品国際(global.vip.com)」10%
中国ECといえば、アリババグループの「天猫(T-mall)」ですが、その越境EC版の「天猫国際(Tmall Global)」をしのいでいるのは「網易考拉海購(Kaola.com)」です。
「網易考拉海購(Kaola.com)」は、2015年1月に開設され、韓国の化粧品などの販売を皮切りに、さまざまな商品を展開しているサイトです。日本からも、資生堂やKOSE、明治、花王などが商品を販売しています。
Kaola.comは、海外に拠点を設立し、海外のメーカーや小売店と提携し、良質な商品を直接現地から購入し、サイトで販売する方式を取っているのが特徴です。偽物に悩まされる中国では、現地調達の信頼のおける商品を取り扱っていることが大きな強みとなっています。
3-2. WeChat(微信・ウィーチャット)上のECサイトで販売する方法も
日本企業が中国越境ECに取り組む場合、ランキングに上ったような中国の越境ECモールに出店する方法だけでなく、中国で大きな人気を誇るSNSの一つであるWeChat(微信・ウィーチャット)を活用することもできます。
代表的なシステムが、JC Connect 株式会社による、WeChat(微信・ウィーチャット)公式アカウント上に各社独自のECサイトを構築できる「ShopCN (ショップシーエヌ)」です。
ShopCNは、低コストで手軽にECサイトを運営することができるメリットがあります。決済については、日本企業は円建てでの決済ができるため、中国での銀行口座を開設する必要がないという点には特に注目です。
人気の越境ECモールに出店するよりも越境ECを始めやすいといえます。
さらに、決済手段としてWeChat(微信・ウィーチャット)のオンライン決済サービス「WeChat Pay」で決済ができるため、WeChat(微信・ウィーチャット)ユーザーの購買促進にもつながると考えられます。WeChat(微信・ウィーチャット)アカウントでのプロモーションとうまくかけあわせることで、越境ECでの販売の可能性も広がります。
4. まとめ
中国越境ECでは、主に女性、大都市在住者で、ある程度の収入のある人たちへのアプローチが有効といえます。さまざまなプラットフォームを選び、SNSとも連携させてうまく集客していくことがポイントといえます。