1. 新税制の概要
2016年4月8日に中国政府が越境ECにかかる新税制を発表しました。これまで、一般貿易と比べて、越境ECの税負担が低く、不公平になっていたことが改正の背景です。
では、新税制はどのような点が改正されたのでしょうか。
まず、大きな変更点は、「行郵税」が適用されなくなった点です。行郵税とは、個人が海外で買い物をしたものや、個人が海外から輸入した郵便物に対して課せられる税金です。旧行郵税では、例えば、食品、オムツ・衛生用品、革製バッグ、貴金属品などには10%課税されていました。また、化粧品、酒、煙草などは50%の課税がありました。
これが、新税制では、1回の取引限度額内においては、関税はかかりませんが、増値税が基本17%課税され、さらに消費税は70%が課税されることになりました。
また、新税制では、個人消費者の1回当たりの購入限度額が1,000元から2,000元に引き上げられました。
このような改正により、旧税制よりも値上がりになる品目と値下がりになる品目があります。
【参考】
越境ECで酒類の販売を検討中の場合はこちらもご覧ください。
2. 品目別の値下がり・値上がり状況
中国越境ECには、直送モデルと保税区モデルの2種類の配送モデルがあります。直送モデルは、その名の通り、日本から直接商品を配送するモデルです。保税区モデルは、中国の現地に「保税倉庫」を持ち、注文があったら中国の倉庫から物品を配送するというモデルです。
このうち、保税区モデルについて、値下がりになる品目と値上がりになる品目をみていきましょう。
●値下がりになる品目
・洋服・寝具、小物家電250元超…8.1ポイント値下がり
・化粧品50元超…38.1ポイント値下がり
・高級化粧品50元超…23.65ポイント値下がり
●値上がりになる品目
・一般加工食品、乳幼児用品類、日用雑貨など…500元以下は11.9ポイント値上がり、500元超えは1.9ポイント値上がり
・洋服・寝具、小物家電250元以下…11.9ポイント値上がり
・化粧品50元以下…11.9ポイント値上がり
・高級化粧品50元以下…11.9ポイント値上がり
【定義】
化粧品:10元/ml(g)もしくは15元/枚(ピース)未満の化粧品
高級化粧品:10元/ml(g)もしくは15元/枚(ピース)に等しい、またはそれ以上の化粧品
化粧品については、2016年4月8日に発表された税率から、同年10月に減額調整が行われ、一部の消費税が取り消されました。これにより、全体として税率が低減される結果となりました。
とはいえ、これまで50元以下は免税だった化粧品については、実質増税になることは変わりありません。一方で、50元を超えた場合は実質減税になることは覚えておきたいところです。
3. まとめ
新税制は、2017年末までの猶予期間が設けられていたため、正式に導入されるのは2018年1月1日からとなります。中国越境ECに関わっている企業やショップは、対応を急いでいる状況です。
新税制においては、越境ECの品目が値上がりになる品目、値下がりになる品目があることが分かりました。しかし、必ずしも増税・減税がそのまま影響するとは限りません。今後の中国の人たちの動向をよく観察して、新税制に対応し、これまでと同等、もしくは売り上げ増大となるよう、うまく乗り越えていきたいものです。