1. 2019年中国宅配便の個数は630億件
中国のEC事情は、日本から見てもすさまじい勢いで活発化しています。そのECに欠かせないのが宅配便です。
中国国内の宅配件数はどれくらいでしょうか。中国の国家郵政局によれば、2019年に中国全国の宅配業者が取り扱った宅配便は前年比24%増の630億件だったといいます。2020年の宅配便件数は前年比約18%増となる740億件に達すると見込まれていました。
630億件というのはどのくらいの数なのか、日本と比較してみます。国土交通省によると、令和元年度の宅配便取扱個数は、43億2,349万個でした。これと比較すれば、どれだけ数が多いかがわかるでしょう。
2. 中国通販サイトも宅配に参入!
現在、中国ECで宅配便を取り扱っている業者は、中国郵政の傘下にある「EMS(中国郵政速逓物流)」のほか、四通一達といわれる民間の事業者である「申通快逓」「圓通速逓」「中通速逓」などや「順豊速運(SFエクスプレス)」、そして米国の「フェデラル・エクスプレス(FedEx)」が主流になっています。
このような中、中国通販サイトの中で、国有・民間の宅配業者に頼らずに独自の物流センターや倉庫、配送センターなどを持ったり、自社のグループ会社の配送事業者を活用したりしているところもあります。例えば、京東商城が運営する「京東(JD.com)」です。
京東(JD.com)は、なぜ宅配事業に参入したのでしょうか。その理由として考えられているのは、現地の宅配業者がサービスのレベルが低いことです。荷物の届けられる時間の遅延、荷物の紛失や破損などのほか旧正月などの中国ECが盛り上がる期間に休業を決め込む宅配業者が多い実態があります。これらの課題を解決することで、消費者からの支持を得ています。
3. 京東全球購(JDワールドワイド)には国際物流サービスの提供も
中国における宅配業者のサービスレベルの低さから考えると、日本企業が中国越境ECを行う際、宅配業者の選定には入念な事前リサーチと配慮が必要になります。しかし、現地の評判を正確に把握するのは困難です。
そこで日本企業が信頼の置ける物流を行う方法の一つに、京東(JD.com)の越境ECプラットフォームである「京東全球購(JDワールドワイド)」の日本館で提供されている国際物流サービスを利用する方法があります。
「京東全球購(JDワールドワイド)」の日本館には、すでに日本企業が数多く出店しています。専属でショップの運営サポートも行われていることに加え、独自の物流サービスの活用により、安心感が増すでしょう。
4. 未来の中国宅配が見えるドローン活用
先日、米国のAmazonが小型無人機(ドローン)を用いた商品配送のテストを米国で行ったと発表しました。Amazonはすでに2013年12月に小型無人機を使った配送の構想を発表し、実験を重ねていました。
これに倣ったのか、中国EC最大手のアリババ社も2015年2月の3日間、通販サイト「淘宝(タオバオ、Taobao)」において生姜茶の無人航空機配送テストを行いました。
これは消費者宅へ1時間以内に1銘柄の生姜茶を配送するというもので、試験は3日間に渡って行われました。地域は北京、上海、広州の3都市、計450件の配送が行われたそうです。無人航空機は配送する先の建物の外まで届け、その後担当者が受け取り、玄関で消費者に品物を渡すという方法がとられたそうです。今回は試験的にひとつのキャンペーンとして行われたとのことでした。
また物流専業としてはトップといわれる順豊速運(SFエクスプレス)も、無人飛行機やドローンなどを活用した配送網の構築に投資しているといわれています。
今後の中国の宅配においては、こうした新しい取り組みがさらに進んでいくでしょう。
コロナ禍を受けた中国ECの宅配事情
コロナ禍を受け、中国ECの宅配はどう変化したのでしょうか?
2020年の11月1日から11日の独身の日イベント「ダブルイレブン(双十一)」では、アリババグループの物流基盤である「菜鳥(ツァイニャオ)」は11日間で過去最大となる23.2億件の荷物配送オーダーを処理したと公式発表しました。
コロナ禍により、従来とは異なり11日間にわたって実施されたこともあり、非常に多くの取引と配送が行われました。
中国国家郵政局によると、2021年の春節(旧正月)の買い物キャンペーンの実施に伴い宅配業務が急増し、一日の取扱量は2億5,000万件に上っているといいます。
コロナ禍による外出自粛でEC利用が増えたといわれる中、配送件数が増えていることがわかります。各宅配業者は、感染対策として人員の補充や無接触サービスの強化に取り組んでいます。
6. まとめ
中国越境ECに取り組む際には、宅配事情も押さえておくべきといえます。中国では特に配送業者に対するクレームが多いといわれる現状を日本企業は入念に調査の上、信頼の置ける配送手段を選び消費者宅まで安全・安心に届けられる仕組みの構築が重要といえます。