越境ECを始めるにあたって、準備しておきたいことの一つに、EC販売の基盤となるショッピングカートがあります。越境 ECでは、主にASPカートの利用や越境ECモールへの出店、自社開発のショッピングカートの利用などの方法がありますが、中でもASPカートをサービス提供会社からレンタルする方法は手軽に始められるメリットがあります。
そこで今回は、ASPカートとは何か、越境ECで利用する際のASPカートのメリット・デメリットをご紹介します。
1.ASPカートとは?
まずはASPカートの概要について確認しておきましょう。
「ASP」とは、「Application Service Provider(アプリケーション・サービス・プロバイダ」の略で、インターネットを活用してアプリケーションを利用するサービス事業者のことをいいます。
「ASPカート」とは、その事業者がサービス提供するショッピングカートサービスのことです。「ショッピングカートASP」や「ECシステム」などと呼ばれることもあります。
サービス事業者にレンタル料を払うことで、インターネット上でECを展開することのできるアプリケーションです。
ASPカートの契約を行った後は、管理画面から商品情報や画像を登録し、デザイン、決済方法などの設定をすることでEC販売を始めることができます。
2.越境ECに使えるASPカートとは
越境ECを行う際にも、ASPカートを利用することができます。しかし、日本国内向けのものをそのまま利用することはできません。 多言語や外貨に対応している必要があるためです。
越境ECに使えるASPカートは、大きく分けて次の2種類に分かれます。
●国内向けASPカートの越境EC版
日本国内でEC展開できるASPカートを、一部改造して越境ECに利用できるようにしたものです。越境機能のオプションを付けることで利用することができるサービスなどもあります。
●越境EC専用ASPカート
海外向けに特化した越境EC専用カートです。多言語対応や現地通貨を設定できるなど、各国に適した機能を持ちます。
3.越境ECにおけるASPカートのメリット
越境ECでASPカートを利用する場合は、メリットとデメリットの両方があります。利用の際にはどちらも押さえたうえで検討するのをおすすめします。
3-1.ITリテラシーが低い場合でも越境ECが開始可能
越境ECを始めたい事業者は、コロナ禍で打撃を受けた飲食店や小売店なども多いと思われます。越境ECを始めるとなれば、あまり慣れ親しんでいないインターネットやITの分野に取り組むことになるでしょう。ITリテラシーが低いことが多いと考えられるなか、自社で自らショッピングカートを開発するのは技術面でハードルが高いですが、ASPカートをレンタルするのであれば開発は不要ですし、操作もそれほどむずかしくないため、手軽に越境ECが始められます。
3-2.安価に導入できる
技術的な面だけでなく、コストの面でも安価に導入できるメリットもあります。自社システム開発にはプログラマーの人件費がかかりますが、ASPカートであれば月額固定料金のことが多いため、比較的運用コストも低く抑えられます。
3-3.インターネットに接続できればどこからでもアクセスが可能
自社開発システムの場合、社内ネットワークからのみのアクセスしかできない場合がありますが、ASPカートであれば、インターネットに接続できればどこからでもアクセスが可能です。スマートフォン対応していれば、スマートフォンで手軽に管理画面からの作業や確認が行えます。
3-4.システムの保守管理が不要
ASPカートは、基本的にシステムの保守管理はサービス提供事業者が行うため、自社がシステム的な保守管理を行う必要はありません。そのため、負担が少なくて済むでしょう。
4.越境ECにおけるASPカートのデメリット
4-1.自社に合わせてカスタマイズしにくい
ASPカートは既製品を利用することから、自社の要望に合わせてカスタマイズしにくいというデメリットがあります。自社開発と比較して、自由度が低い側面があります。
4-2.サービス停止のリスクがある
サービスを提供している事業者が、万が一倒産したり、不祥事を起こしたりした場合に、サービスが停止するリスクがあります。
4-3.情報セキュリティリスクはサービス提供事業者に依存する
情報セキュリティ面は、システムに依存することが多いため、サービス提供事業者が管理することになります。万が一、ネットワーク接続の障害などが起きた場合に、データ消失や情報漏洩が起こることがあります。サービス提供事業者を選定する際にはセキュリティが強固なところを選ぶことが求められます。
5.まとめ
ASPカートの概要や越境ECで利用する方法やASPカートのメリット・デメリットをご紹介してきました。越境ECを始める際にはぜひ、注意点を踏まえた上で、利用を検討してみてはいかがでしょうか。