今年も、中国ECが一年のうちで最も盛り上がる11月11日、「双11(ダブルイレブン)」の独身の日セールの日が近づいています。今年は新型コロナウイルスの感染拡大があり、EC全体が活況となる中、独身の日セールはさらなる盛り上がりを見せると予想されます。
昨年の状況や今年はどうなるのか、日本参戦する日本企業は、どのような戦略を取るべきかのヒントをご紹介します。
1.独身の日セールとは?
毎年、中国では11月11日の「独身の日」に、EC上で大規模セールを実施しています。
この独身の日のセールは中国では「双11(タブルイレブン)」などと呼ばれることもあります。
双11が始まったのは、2009年のこと。2009年11月11日に、中国EC最大手のアリババグループがECサイト「タオバオ」、つまり現在の「天猫(Tmall.com)」内でセールを行ったところ、好調だったため、毎年行われるようになりました。
今では毎年11月11日は、天猫のみならず、「京東商城(ジンドンショウジョウ)」をはじめとした他社ECサイトや百貨店・スーパーなど中国全土でもセールが行われる、大規模セールの日となりました。
2.2019年の「双11(ダブルイレブン)」の様相
昨年の双11は、どのような様相だったのでしょうか?
2019年は、世界78か国から2万2,000以上のブランドが参加し、大いに盛り上がりました。
アリババグループの一日の流通総額は、過去最高となる2,684億元(約4.2兆円)を記録しました。開始から17時間で、2018年度の流通総額2,135億元を超え、新記録を更新しました。開始からわずか1分で10億ドルを売り上げたといいます。
このように、双11は年々、流通総額が順調に向上しており、盛り上がりも高まる一方となっています。
3.今年の独身の日セール「双11(ダブルイレブン)」はどうなる?
では、今年の独身の日セール「双11(ダブルイレブン)」はどうなるのでしょうか?
アリババグループが発表している内容をもとにご紹介します。
3-1.25万以上のブランドが参加し昨年の2倍以上の新商品発表
今年は天猫(Tmall)に出品中の25万以上のブランドが参加し、1,400万点のお買い得商品が提供されます。さらに、昨年の2倍となる200万点以上の新商品が発表される予定です。
3-2.2回の期間に分けて販売
通常、セールは11月11日の1日だけ開催されますが、今年は2回に分けて販売期間が設けられます。通常の11月11日に加え、11月1日から3日にかけてもセールが実施されます。
アリババグループが2期間に販売契機を設けた背景として、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けている店舗や企業への配慮があります。商品・ブランドストーリーをアピールする機会を追加で提供することを目的に販売期間を拡大しました。
3-3.10月下旬から予約販売を実施
数々の店舗は2020年10月20日から予約販売をスタートし、11月1日から3日と、11月11日の販売期間に備えています。
3-4.越境ECは89の国と地域が参加
越境ECについては、89の国と地域から2,600以上の新商品が提供されます。今年は天猫国際(Tmall Global)に加え、初めて越境ECサイトの「コアラ(Kaola、考拉海購)」が参加します。コアラは「正規品100%保証」を謳い文句とする人気の越境ECサイトで、2019年にアリババグループによって買収されました。
4.今年の独身の日セール「双11(ダブルイレブン)」の販売戦略はどうとる?
多くの日本企業も越境ECで双11に参加します。コロナ禍で訪日できない中国人消費者にとって今年の越境ECサイトからの日本商品のセールは非常に楽しみにされているのではないでしょうか。つまり、日本企業にとって大きなチャンスとなるでしょう。
そこで、今年の販売戦略を立てる際のヒントをご紹介します。
4-1.ライブコマースの活用
今年は、近年ブームとなっている「ライブコマース」が中心となることが予想されます。アリババグループが開催するトップクラスのライブ配信者が主催するセッションや、約400人の企業経営者や300人の著名人・芸能人がライブ配信に参加予定です。
このライブコマースは、日本企業にとっても参入のチャンスといえます。アリババのライブコマースアプリ「淘宝直播(タオバオライブ)」においては、化粧品や電化製品から車や住宅まで幅広い商品カテゴリーが紹介・実演・販売されているため、どのようなカテゴリーでも試してみる余地があります。さらに、近年は物件のオンライン内覧や車両のバーチャル試乗などの新機能も注目されています。
4-2.近年は「デジタル家電」や「服・靴・バッグ」がねらい目
ECデータ分析サービスを行う株式会社Nintが発表した、2019年独身の日における天猫(Tmall)の売れ筋カテゴリー動向を見ると、1位が「デジタル家電」で21.10%。2位が「服・靴・バッグ」で20.41%、3位は「美容関連」で17.95%でした。2019年に初めてデジタル家電がトップになったとのことから、今年2020年も好調が期待できます。しかしながら、今年は新型コロナの影響もあるため、カテゴリーにも影響が出る可能性もあります。
5.まとめ
2020年の独身の日セールについて、開始前のアリババグループからの発表内容や予想をご紹介してきました。今後、参入を考えている場合には、ぜひヒントにしてみてください。