1.ライブコマースとは?
ライブコマースとは、ライブ配信とEC(ネット通販)を掛け合わせたサービスで、中国で急成長している市場です。
iiMedia Researchのデータによると、2019年の中国のライブコマース業界の総規模は、4,338億元に達し、2020年には2倍になると予想されています。
現在、中国ではライブコマースを実施している動画プラットフォームは、大きく2つに分かれます。
一つは、KOLと呼ばれるインフルエンサー主体の動画プラットフォームで、抖音(TikTok)や快手(クワイショウ)などが挙げられます。これらのプラットフォームにアカウントを持つKOLがライブ配信をしながらモノを売るというものです。
もう一つは、ECモールにおける動画配信機能です。淘宝直播(タオバオライブ)、京東直播、拼多多(ピンドゥドゥ)などに出店している店が、KOLなどに依頼し、自店舗商品をライブ動画配信で紹介してもらい、売るというものです。
どちらも活性化しており、広告主やKOL、商品やターゲット特性によってプラットフォームが使い分けられています。
2.中国ライブコマースで売り上げの高いKOLの特徴とは?
中国では、すでにライブコマースで大きな成果を上げている、つまり売上を上げているKOLが多くいます。
KOLは、フォロワー数に応じてランク付けされていますが、フォロワー数とライブコマースの販売力は必ずしも連動するとは限りません。例えば、抖音(TikTok)のライブコマースにおけるEC売上額トップ10のKOLのうち、ファンが100万人未満の人は数人いるというデータもあります。つまり、「人気=販売力」ではないということです。
多大なる販売力を身につけたKOLが今後も台頭してくるでしょう。
3.中国のトップKOLのライブコマース事例
ここで、どのようなKOLがどれくらい売上を上げているのか具体的なライブコマースの事例をみていきましょう。
3-1.5秒でシャンプー16万5,000本を販売
中国の人気スターとライブ配信で共演したトップKOLの2人は、なんと5秒でシャンプー16万5,000本を売ったという事例があります。これはまさに彼らのファンを筆頭に、KOLの信頼もあって実現したものと考えられます。
3-2.1回のライブ配信で2千万元を売り上げる口紅王子
今、中国KOLの中でも化粧品ライブコマースで大盛況の男性KOLがいます。かつて世界的に有名なコスメブランドの販売カウンターで接客するビューティーアドバイザーだったこともあり、より専門的な知識が得られることで人気を集めています。
あるとき、そのコスメブランドの口紅のライブコマースに抜擢され、自らその口紅を塗りまくるという芸を見せたところ、すぐに口紅が売り切れてしまったといいます。それからその口紅を塗る芸が売りとなり、「口紅王子」と呼ばれ年間300回以上ものライブ配信を実施。その売り上げは1回のライブ配信で2千万元(約3億2,000万円)にも上るといわれています。
3-3.独身の日に3.3億元!淘宝(タオバオ)ライブの女王
「淘宝(タオバオ)ライブの女王」と呼ばれるKOLの女性は、2018年11月11日の独身の日に、ライブ配信で3.3億元(約51億円)の売り上げを上げました。これは破格ですね。
4.日本の商品のライブコマース事情
4-1.在日中国人が日本からライブ配信
新型コロナ感染拡大の影響を受け、訪日できなくなった中国人たちは大勢います。当然、日本国内の売上も落ちています。その現状を挽回するべく、在日中国人たちが中国に向けて日本からライブコマースを実施する企業が増えています。化粧品や健康関連商品など、中国で人気の日本商品がよく売れているようです。
4-2.ミツカンの味ぽんをライブコマースで販売
日本企業のミツカンは、看板商品「味ポンMILD」と「金のごまだれ」を淘宝(タオバオ)のライブ配信でKOLの出演の下、プロモーションを実施。結果、ライブ配信した月は合計6,000本以上売れたとのことでした。ポン酢文化のない中国で、KOLが巧みにライブで解説し、多くの売上につながりました。
5.まとめ
中国のライブコマースの状況や事例をお伝えしてきました。ライブコマースは今後さらに成長していく分野と考えられています。
まずはプラットフォームを整備して、ライブコマースに挑戦してみるのも良いのではないでしょうか。