中国人インバウンドを受け入れる日本の店舗や施設がどんどん増えていますが、どうしても簡単には越えられないのが、言語・コミュニケーションの壁です。翻訳アプリや多言語対応の案内板を活用し、基本的な中国語フレーズを学ぶことも有効です。
また、文化の違いを理解し、相手の習慣や価値観を尊重する姿勢が求められます。
そこで今回は競合他社に差をつけるためにも、中国人インバウンドとのコミュニケーションの壁を超えるためのトレンドの施策を3つご紹介します。
1.中国人インバウンド課題で大きい「コミュニケーションの壁」
中国人インバウンドは、最近訪日旅行中にどんなことを思っているのでしょうか?
その内容を知るのに参考になるのが、観光庁による「訪日外国人旅行者の国内における受入環境整備に関するアンケート」結果です。平成30年11月~平成31年2月に、成田国際空港・東京国際空港・関西国際空港・福岡空港で、訪日外国人旅行者を対象に、旅行中に困ったことや公共交通の利用の状況把握のためのアンケートを実施したところ、4,037件の結果から、その中身がわかりました。特に割合が多かった項目を挙げます。
●「旅行中に困ったこと」主な項目
・施設等のスタッフとのコミュニケーションがとれない 20.6%
・無料公衆無線LAN環境 18.7%
・公共交通の利用 16.6%
・多言語表示の少なさ、わかりにくさ(観光案内版・地図等)16.4%
「困ったことはなかった」という回答は36.6%ありましたが、旅行中に困ったことについては、「施設等のスタッフとのコミュニケーションがとれない」が最も多くなっており、やはり外国語対応がむずかしいのが現状のようです。
2.中国人インバウンド観光客向けに中国語対応すべき理由
中国人インバウンド観光客向けに中国語対応を行うことは、飲食店や観光業において非常に重要です。中国語対応が必要な理由は、訪日中国人観光客の増加とその消費力の高さにあります。2023年には訪日外国人数が約2500万人を超え、その中でも中国人観光客は大きな割合を占めており、2024年にはさらに増加する見込みです。特に、中国人観光客は高額な買い物をする傾向が強く、日本製品への関心が高いため、彼らのニーズに対応することが重要です。
また、中国語対応は観光客の満足度向上につながります。言語の壁を取り除くことで、観光地や店舗でのコミュニケーションが円滑になり、サービスの質が向上します。これにより、リピーターの増加や口コミによる新規顧客の獲得が期待できます。
そして、現在は円安の影響で日本の商品の相対的な価格が低下しており、中国人観光客の購買意欲が高まっています。このチャンスを最大限に活かすためにも、中国語での案内やサポートが不可欠です。例えば、商品の説明や観光案内を中国語で提供することで、顧客の理解が深まり、購入意欲を刺激することができます。
3. 中国語のコミュニケーション、翻訳で気を付けること
中国語でのコミュニケーションでは、いくつか注意する必要があります。まず、文化的背景の理解が不可欠です。中国には独自の文化や習慣があり、これらを尊重した上でコミュニケーションを取ることが大切です。たとえば、挨拶や感謝の言葉、謝罪の表現など、礼儀正しい対応が信頼関係を築く鍵となります。
敬意と礼儀の表現も重要です。中国では特にビジネスシーンや公式な場面で敬語や謙譲語が重視されます。丁寧な言葉遣いや適切な敬語を使用することで、相手に対する敬意を示すことができます。
言語の違いに注意する必要があります。中国語には簡体字(中国本土)と繁体字(台湾、香港)があり、ターゲットに応じた文字の使い分けが必要です。また、同じ言葉でも地域によって異なる意味を持つことがあるため、文脈に応じた適切な表現を選ぶことが求められます。
4.中国人インバウンドとのコミュニケーションの壁を超える手段とは?
中国人インバウンドは、日本の小売店などにとって重要な顧客であることから、コミュニケーション面を改善することは大きな一手となります。また、競合他社との差をつけることも可能です。
そこで、中国人インバウンドとのコミュニケーションの壁を超える手段のトレンドをご紹介します。
4-1.「大衆点評」でアピールする
中国人インバウンドの多くは、「大衆点評」という口コミサイトを利用しています。 「大衆点評」は世界中の店舗情報と消費者によるレビューを掲載する、中国最大の生活情報サイトおよび、アプリです。
掲載情報は飲食店のほか、小売店、エンターテイメント施設、ホテル、サロン、クリニックなど多様なジャンル、3,000万件以上にも上ります。
また、店舗情報やレビュー以外にも各種割引特典付きチケットなどが多数掲載されているのも、中国人インバウンドが多く利用する理由の一つです。
日本の店舗が中国人インバウンドにネットを介して情報発信したい場合、言語の壁を超えられる中国語サイトに店舗情報を掲載することが一つの手段として挙げられます。大衆点評に企業や店舗が公式登録することで、それが容易になります。
また店舗情報だけでなく、クーポン情報などのお得な情報を発信すれば、効果的に集客が可能になります。
【参考】
4-2.デジタルサイネージを中国語対応させる
店頭ポスターなどの掲示物や、商品名、メニューなどを中国語にするという施策はよく行われていることです。もちろん、この施策も行いつつ、デジタルサイネージを設置し、中国語対応させるという方法もあります。
デジタルサイネージとは、ディスプレイやプロジェクターなどに映像や画像、文字を映し出すことができるもので、ポスターや掲示板よりも、動的にわかりやすく訴求できるメリットがあります。多言語対応も可能なので、店舗や施設を訪れた中国人インバウンドにも効果的に中国語でコミュニケーションを行うことができます。
4-3.通訳機を接客時に使用する
通訳機を店頭に用意しておき、スタッフが中国人インバウンド客を接客するときに使用すればまるで通訳がそばにいるかのようなコミュニケーションと意思疎通がはかれます。
通訳機の中には、インターネット上のエンジンとAIによっては、長文でもくだけた会話でも、瞬時に訳すことが可能なものもあります。AI搭載により、利用すればするだけ学習することから、より中国人インバウンドとのコミュニケーションも良きものになっていきます。
いわゆる一般的な自動翻訳は直訳で使えないという声が多い中、高性能の通訳機を利用して中国人インバウンドとのコミュニケーションを高めている店舗が増えています。
5.まとめ
中国人インバウンド観光客とのコミュニケーションの壁を超えるためには、以下の3つの施策が有効です。
まず、「大衆点評」に店舗情報を掲載することです。大衆点評は中国最大の口コミサイトで、多くの中国人観光客が利用しています。店舗情報やクーポンを提供することで、効果的な集客が可能です。
次に、デジタルサイネージを中国語対応させることです。動的な表示で視覚的に情報を伝え、多言語対応も可能なため、観光客にわかりやすい案内ができます。
最後に、通訳機を使用することです。AI搭載の高性能通訳機を利用することで、スムーズなコミュニケーションが可能になります。これにより、観光客の満足度が向上し、リピーターの増加が期待できます。
「大衆天評」は中国最大の口コミサイトであり、多くの中国人が旅行先を選ぶ際に参考にしています。観光地や宿泊施設、飲食店が「大衆天評」で高評価を得ることで、さらなる集客が期待できます。訪日外国人観光客のインバウンド集客なら、「大衆天評」を活用して効果的なプロモーションを行いましょう。