1.インバウンド補助金とは
インバウンド補助金とは、国や各自治体から訪日外国人旅行者受け入れの環境設備への対策や、インバウンド対応の支援として補助金が出る制度のことです。
国土交通省の観光庁では、「訪日外国人旅行者の受入環境の整備に関する事業」の中で「訪日外国人旅行者受入環境整備緊急対策事業」を進めていました。この補助金事業の目的は、訪日外国人旅行者数2020年に4,000万人、2030年に6,000万人の実現に向け、訪日外国人旅行者の受入環境整備を行うための緊急対策を促進することにあります。
実際、滞在時の快適性及び観光地の魅力向上並びに観光地までの移動円滑化などを図るために宿泊施設や交通サービスのインバウンド対応支援、地方での消費拡大に向けたインバウンド対応支援などを対象とする補助金の交付が行われました。
また、東京都や公益財団法人東京観光財団では、積極的に外国人旅行者を受け入れる宿泊事業者の取組を支援するため、平成28年度から、受入環境の整備に係る補助対象を拡大しました。これまで宿泊施設が補助対象者でしたが、中小規模の飲食店や免税店などに対象を広げ、さらに補助対象となる事業も拡大しています。
2.東京都のインバウンド対応力強化支援補助金
東京都と公益財団法人東京観光財団が実施しているインバウンド対応力強化支援補助金においては、平成29年4月27日から平成30年3月30日(金)までの募集期間で、都内の民間宿泊施設、飲食店(※)・免税店(中小企業者のみ)、外国人旅行者の受入対応に取り組む中小企業団体・グループを補助対象とし、次のような事業を補助対象としています。
・多言語化(施設・店舗の案内表示・設備の利用案内・ホームページ等)
・無線LAN環境の整備
・トイレの洋式化
・クレジットカード決済端末や電子マネー等の決済機器の導入
・客室の和洋室化、テレビの国際放送設備の整備(宿泊施設のみ)
・免税手続きに係るシステム機器の導入(免税店のみ)
・外国人旅行者の受入対応に係る人材育成
※東京都が実施する「EAT東京」(多言語メニュー作成支援ウェブサイト)の「外国語メニューがある飲食店検索サイト」に掲載されている店舗
これらの事業に対し、補助額は経費としてかかった2分の1以内とし、宿泊施設・飲食店・免税店は1施設/店舗あたり300万円を限度、団体・グループは、共同で実施する多言語化・人材育成について、1団体/グループあたり500万円を限度としています。
3.インバウンド補助金のマーケティング活用メリット
このインバウンド補助金を日本企業がインバウンドプロモーションに活用する場合、主にWEBサイトや店舗の多言語化対応などが注目されます。また、場合によっては外国人旅行者の受入対応に係る人材育成についても有用である企業や店舗もあるでしょう。
こうしたインバウンド補助金を利用するメリットは、まず自己負担を抑えることができ、効率的にインバウンド対応が実現することにあるといわれています。
また、案内を多言語化することで、外国語対応スタッフを必ずしも常駐させる必要がなくなるのもメリットといえます。
4.まとめ
こうしたインバウンド補助金の知識があるかどうかでコスト減になるかどうかが決まってきます。今回は東京都の例を紹介しましたが、地方自治体でも独自にインバウンド補助金を出しているところもあります。ぜひ自分の地域における補助金も確認してみましょう。