1.越境ECで消費税が免除される「輸出免税」とは?
「消費税」はご存知の通り、日本で定められた税金の一つで、消費する際に消費者が負担する税金です。この日本の消費税の課税は「消費されるのが日本国内である」ということが条件になっており、「外国で消費されるもの」については課税されません。
つまり越境ECなどで、日本商品を海外へ販売する「輸出取引」を行う際には消費税は免除されます。よって、日本商品を販売する日本企業は、海外のお客様から消費税を受け取って、それを納税する必要はありません。この輸出取引において消費税が免除されることを「輸出免税」と呼びます。
2.越境ECにおける消費税還付とは?
輸出免税があることから、越境ECで販売する際には販売側である事業者は消費税を加算する必要がないということになります。
しかし、その輸出のためにかかった仕入れ商品に課せられた消費税(課税仕入れ)や、輸出業務や事業のために支出した諸経費に対しては、消費税を支払っています。その場合、所轄の税務署長に申請をすることで還付を受けることができます。
輸出業務や事業のために支出した諸経費とは、例えば事務用品などの消耗品費や交際費、広告宣伝費なども含まれます。
これらにかかった消費税はある一定の条件を満たした上で、申請することで戻ってくるのです。
3.越境ECの消費税還付が受けられる条件とは?
消費税還付を受けるには条件があります。その条件をみていきましょう。
3-1.「消費税課税事業者」であること
消費税還付を受ける条件として、「消費税課税事業者」である必要があります。
【改正消費税法上の「消費税課税事業者」の定義】
・事業年度の前々事業年度(以下、「基準期間」)における課税売上高が1,000万円を超える法人事業者
・前々年の暦年(基準期間)における課税売上高が1,000万円を超える個人事業者
・新設会社のうち、その事業年度の開始の日における資本金の額、または出資の金額が1,000万円以上の法人事業者
出典:日本貿易復興機構(ジェトロ)「輸出時の消費税:日本 」より
既存の消費税課税事業者は、所轄の税務署長に「消費税課税事業者届出書」を提出していることが還付を受ける前提です。
3-2.「消費税免税事業者」が還付を受けるには課税事業者になること
「消費税免税事業者」が消費税の還付を受けるには、所轄の税務署長に専用の届出書を提出して課税事業者になることを選択することができます。
そもそも、免税事業者は輸出商品の仕入れ等にかかった消費税額の控除ができないので、還付は受けられません。
消費税免税事業者とは、基準期間の課税売上高が1,000万円以下の法人事業者、個人事業者、まだ設立して間もなく売上実績のない、資本金または出資の額が1,000万円未満の法人事業者や個人事業者のことです。
消費税還付を受ける場合は、申請して消費税課税事業者になる必要があります。
3-3.還付申請書類をそろえて提出すること
消費税課税法人事業者は、還付申請書類をそろえた上で「課税期間の末日の翌日から2ヶ月以内」に所轄の税務署長へ提出し還付申請します。
【還付申請書類】
・課税期間分の消費税および地方消費税の確定申告書
・仕入控除税額に関する明細書(法人用)
・付表2 課税売上割合・控除対象仕入税額等の計算書
輸出取引と国内取引を両方行っている場合は、還付消費税と納付消費税が発生するため還付税額と納付税額が相殺されることになります。
4.まとめ
越境ECをこれから始めようとする場合、消費税については正しく理解をしておく必要があります。また還付を受けられるかどうかは企業の状況によって異なりますので、自社の状況と照らし合わせて確認しておきましょう。