1.世界の越境ECモールの特徴
世界各国へと日本の商品を販売していく場合、どのような越境ECモールへの出店が考えられるのでしょうか?主要なモールの概要や特徴、現実的なポイントをご紹介します。
1-1.Amazonグローバルセリング
●販売先:米国・カナダ・メキシコ・イギリス・フランス・ドイツ・イタリア・スペイン・中国・インド
Amazonグローバルセリングとは、主にAmazon.co.jpで出品している出品者を対象に、米国のAmazon.comでの海外販売をサポートするプログラムです。北米、ヨーロッパ、アジアのAmazonマーケットプレイスに商品を出品して販売することができます。
●北米
米国・カナダ・メキシコ
●ヨーロッパ
イギリス・フランス・ドイツ・イタリア・スペイン
●アジア
日本・中国・インド
ただし、Amazon.in(インド)およびAmazon.cn(中国)は、現時点では国内に本社を持つ出品者のみを対象としています。
これらの国の、各Amazonのサイト上で商品を出品、販売することができます。出品者側は、商品を出品先の国のAmazonフルフィルメントセンターに納品し、そこから商品が購入者のもとに配送されます。また出品者は商品出品ツールやAmazon統一アカウントなど、さまざまなツールやサービスを利用できます。
●ポイント
マニュアルは一部日本語ですが、英語のマニュアルを使う必要がある上に、わかりにくいところがあるためハードルは高めといわれます。Amazonのルールだけでなく、各国のルールや法律についても把握して出品販売する必要があります。
またAmazonは、中国国内の出店者が商品を販売するAmazon中国について、2019年7月18日にて停止する旨を発表しています。しかし、越境EC事業については継続する方向を示していることから、今後もAmazonを利用した中国越境ECについては、視野に入れておいたほうが良いでしょう。
1-2.Ponparemall JAPAN
●販売先:世界80超えの国・地域
2016年1月からサービス提供が開始されたリクルートが運営するポンパレモールの越境EC版です。
Ponparemall JAPANは、リクルートが国内ECサイトの海外発送をサポートするtenso株式会社と共同で作った中国・英語圏向けECサイトで、tensoが運営する海外転送・代理購入サービス「Buyee(バイイー)」会員、世界80超えの国・地域の会員向けに販売しています。
すでにポンパレモール出店のショップは、手数料や商品登録の手間なく出品が可能です。サポートとして商品情報の翻訳、決済、配送 、CS対応を行ってくれます。
また、基準をクリアした商品について初期費用や固定費の負担なく、中国の越境ECモール「天猫国際(Tmall Global)」への出品や翻訳、決済、発送を代行してくれるサービスも備えています。
●ポイント
Ponparemall JAPANの登場は、すでにポンパレモールに出店し、日本国内で販売している企業にとっては朗報でした。ただ、販売先はあくまで海外転送・代理購入サービスです。会員から「代理購入してほしい」と申請があり、その上で例えばBuyeeが代わりに購入します。直接販売するのではないという点について留意が必要です。
1-3.Rakuten Global Market
●販売先:主に中国、香港、アメリカ、台湾、韓国
楽天市場の越境EC版です。ショップから海外の顧客へ直接商品を届けます。「楽天国際配送」というサービスにより、海外に配送されます。公式サイト上では、210以上の国と地域の人々が利用中と発表されています。
●ポイント
楽天市場の実績では、2016年の国別流通高は、市場規模も大きい中国が一位で、香港とともにシェアが拡大しています。中国、香港、アメリカ、台湾、韓国の順に売れており、海外向けに配送された商品のうち、およそ30%は海外在住邦人、70%は現地の外国人に購入されているといいます。
申し込みにはまず、日本の楽天市場への登録が必須となっています。また、多くの機能・サポートがついているにも関わらず、海外販売を始める際に別途初期費用・月額固定費がかからないのが特徴です。
1-4.天猫国際(Tmall Global)
●販売先:中国
天猫国際(Tmall Global)は、中国のEC最大手アリババグループが運営するBtoCモール天猫(Tmall)の越境EC版です。
もともと、海外の粗悪品をつかまされた経験のある中国人たちのために、良質な正規品だけを適正な価格で販売するために作られたサイトというだけあって、出店できるのは有名メーカー、または独占販売権を得た業者のみです。
ただ、日本企業にとっては、中国現地法人がなくても出店できる点、日本の銀行口座に入金される点など、メリットが大きいといわれています。
●ポイント
中国の人々の本物を求める志向から、日本製品への需要は高く、天猫国際に出店することは日本企業にとって大きなメリットがあります。一方で、出店基準が厳しいことと、販売金額に応じた手数料を支払う必要があることから、出店においてはハードルが少し高いといえます。
1-5.LAZADA(ラザダ)
●販売先:マレーシア、シンガポール、タイ、インドネシア、ベトナム、フィリピン
Lazada(ラザダ)は東南アジア向けに販売できる越境ECサイトです。
中国のアリババグループがLazadaの支配権を10億ドルで買収。
世界の大手IT機器メーカーなど、大手企業も出店しています。
●ポイント
東南アジア向けの大きなモールであり、東南アジアに進出したい企業にはもってこいといえます。しかし、最初からすべての国へ出品できるわけではなく、まずマレーシア版サイトに登録する必要があります。
マレーシア版のLazadaでの販売状況に応じて、マレーシア以外の他国への出品が可能になります。