1.越境ECでお客様が負担する関税
越境ECを始めるにあたり知っておきたいのは、日本国内でEC販売する場合とは、お客様にかかる代金や税金などの費用の内訳が異なることです。国内で販売する際には、「商品代金 + 消費税 + 送料」が一般的ですが、越境ECでは「商品代金 + 消費税 + 送料 + 関税額」と「関税」をさらにお客様が負担します。
関税とは、国ごとに設けられている税金のことで、例えば、日本から中国へと商品を輸出する場合、中国側では日本から輸入されてきた商品に対して、税金を徴収します。これが関税です。各国によって関税率は異なり、例えば商品の販売価格に対して20%の関税がかかるなどして商品代金に上乗せされます。これにより、各国は自国の産業を諸外国における競争から守ることができます。
関税については、基本的にその商品を購入するお客様が負担することになります。越境ECをはじめるに当たっては、これについてはきちんと理解しておく必要があります。
2.米国と中国の関税
次に、ECがさかんな米国と中国における越境ECを実施した場合の、関税のしくみを簡単に解説していきます。
2-1.米国
米国で越境EC、つまり、日本から商品を米国へ向けて配送し、米国に住む人へ販売する際に、100ドル未満の場合、関税などは免除され、2,500ドル以下の小口貨物については、略式輸入(informal entry)として扱われ、簡易的な通関手続きの適用になります。しかし略式輸入の適用外になる繊維製品などもあります。
また米国では、関税は輸入量と輸入価格を基準にして、輸入者が自己申告で納税します。
2-2.中国
中国で越境EC、つまり、日本から商品を中国へ向けて配送し、中国に住む人へ販売する場合、かかるのは関税だけでなく、増値税、消費税、行郵税もあります。中国では、基本的に個人使用目的の輸入品については、関税が免除されます。しかし、日本でいう消費税に当たる増値税がかかります。また、越境ECには商品カテゴリーごとに、行郵税という輸入関税が存在するので、例えば、ベビー用品には10%の行郵税がかかるといったように、税金がかかってきます。
また、中国越境ECには、2種類のモデルがあります。それは直送モデルと保税区モデルです。
2-2-1.直送モデル
簡単にいえば、直送モデルは中国本土に倉庫を構えず、直接商品を日本から中国人消費者へ個別に配送するというモデルです。送料が高くなることが多いほか、通関手続きがあるため期間を要します。
2-2-2.保税区モデル
中国に保税倉庫を置いて、そこへまとめて商品を安く中国に輸送して、通関手続きを省くことができるため、スピーディーに配送可能である上に、コスト面でも縮小できるといわれています。
近年は税制改正もあったことで、関税は商品ごとに異なり、複雑になっています。相変わらず保税区モデルは広く越境EC事業者に活用されていますが、商品カテゴリーなどによってかかる税金が変わってくるので、よく把握しておく必要があります。
3.まとめ
越境ECでは、関税についての知識は欠かせません。今回は、米国と中国の関税についての基本をご紹介しました。特に中国については越境ECを行うに当たり、関税率が商品によってどのくらい変わるのか、といったところを十分調査しておくことが必要といえます。