例年、訪日中国人の数は増えています。日本政府観光局(JNTO)の統計によれば、中国籍の訪日外客数は2019年1~10月までで813万3,200人で、前年からの伸び率は13.5%で推移しています。
このような中、日本店舗は中国人インバウンドを集客することについて年々、ますますその集客方法について熱が入っているのではないでしょうか。競合他社がさまざまな施策を実施する中、どのような施策を打つことで中国人インバウンド集客が成功するのか日夜考えていることでしょう。今回は数ある業種の中でも、美容院が中国人インバウンド集客をする方法についてご紹介します。
1.美容院のインバウンドビジネスの概要
インバウンドビジネスとは、海外からの旅行者をターゲットにしたサービスの提供を指します。美容院のインバウンドビジネスは、国際的な観光が盛んなエリアや、多文化が共存する都市部で特に有効です。美容院では、異国の文化やスタイルに精通したスタッフを配置し、多言語に対応することで、外国人顧客のニーズに応ることができます。
美容院のインバウンドビジネスの成功は、外国人客のニーズを理解することが重要です。たとえば、日本の美容技術やヘアケア製品は世界的に高い評価を受けていますが、訪日する外国人観光客が求めるのは、ただ単に技術の高さだけではありません。彼らは日本独自の美容文化や接客体験も期待しています。施術の質の高さを維持すると同時に、文化的な体験も提供することが、美容院インバウンドビジネスの重要なポイントとなります。
また、インバウンド客を惹きつけるためには、オンラインでの情報発信が欠かせません。特に、SNSや旅行サイトにおける口コミや評判が、新たな顧客の獲得に直結します。そのため、美容院はウェブサイトを多言語対応にするとともに、SNSでのアクティブな情報発信を行うことが推奨されます。こうしたデジタル戦略を通じて、美容院はグローバルな市場にアピールすることが可能です。
美容院のインバウンドビジネスは、外国人旅行者の多様なニーズに応えることで、国内外からの顧客基盤を拡大し、事業の成長を促進する有効な戦略です。国際的な視野を持ち、文化の違いを理解し、尊重することが、美容院のインバウンドビジネスを成功に導く鍵となります。
2.美容院インバウンドのメリットとデメリット
美容院のインバウンドビジネスは、海外からの旅行者を対象にサービス提供し、日本以外の顧客層へアプローチができるようになります。
メリットとしては、顧客基盤の拡大と売上増加の機会です。さらに、異文化間の交流を通じてブランド価値を高め、国内外での評価を得ることができます。新しいサービスや技術の開発も、異なる文化的背景を持つ顧客のニーズに応える過程で促され、美容院のサービスメニューの多様化に寄与します。
デメリットとしては、言語の壁や文化の壁などがあります。国際的な顧客との円滑なコミュニケーションを確保するためには、スタッフの多言語能力が必要となり、これには継続的なトレーニングとコストがかかることになります。また、多言語対応のウェブサイトや国際マーケティングなど、インバウンドビジネスをするための運営コストは通常よりも高くなります。
3.中国人インバウンドにとっての日本の美容院の魅力とは?
今回は日本の美容院がいかに中国人インバウンドを集客すべきかをご紹介します。まず前提として、中国人インバウンドは日本の美容院に対してどのような意識を持っているのかを知っておきたいところです。
昨今こんな現象が都会の美容院で起きているといわれます。
それは、中国人は女性客のみならず男性客も増えているということです。
なぜ中国人男性が日本の美容院にまでわざわざ足を運ぶようになったのでしょうか。それは、中国人男性がオシャレでいる必要があるという社会的ニーズの高まりが背景にあるようです。
簡単に言えば、男性もファッションやヘアなどの見た目が求められるようになってきたのです。中国では女性の社会進出が進み、女性からの男性に対する評価が「経済的な余裕」によるものだけではなくなってきたことが背景にあるといわれます。女性もある程度お金を持っている今となっては、「一緒に連れていて誇らしい見た目」「清潔感がある」「気配りができる」といった男性像が求められるようになってきました。これにより、中国人男性はよりヘアスタイルへの興味関心が高まっていると考えられています。
そしてなぜ「日本」の美容院なのか、という点については従来中国人が持ちあわせている日本への「高品質」「信頼性の高さ」などの評価が源流となっているようです。化粧品や美容グッズといった商品だけでなく、美容院での施術にもある程度の期待値があるということです。
日本の美容院が世界に誇る、丁寧で安心できるカウンセリングや施術、技術力の高さなどは、中国人インバウンドを射止めているといえます。
4.美容院が中国人インバウンドを集客するには?
では、そうした中で多くの美容院の中から中国人インバウンドに選ばれるためにはどのような集客方法があるでしょうか。主な方法を2つご紹介します。
4-1.中国人インバウンドが見るサイトで情報発信する
まずは店舗の存在を知ってもらうことが先決です。多くの中国人インバウンドが訪日前に閲覧するサイトに、自社の美容院の情報を掲載し発信する方法が近道です。
すでにある美容院の公式サイトを中国語対応すればいいのではないかと思われるかもしれませんが、中国では政府が国全体にインターネットの情報閲覧規制をかけていることから、中国人は日本店舗の公式サイトを閲覧することが基本的にはできません。
そのため、中国人が閲覧できるサイトの中でも、特に多数の中国人インバウンドが閲覧するサイトに情報掲載することがポイントになります。
そうしたサイトの代表が「大衆点評」です。これは「大衆点評」は世界中の店舗情報と消費者によるレビューを掲載する中国最大の生活情報サイトで、アプリもあります。日本でいう「食べログ」のジャンル拡大版というイメージです。グルメのみならず、ショッピング、エンターテイメント、ホテル、サロン、クリニックなどの幅広いジャンルの店舗が登録されています。全世界の1,000を超える国と地域をカバーしており、登録ユーザー数は6億人、月間アクティブユーザーは2.5億人という規模です。
こうした大衆点評の店舗情報を整備し、クーポン配信などを通してお店をアピールすることは非常に有効です。
【参考】
4-2.中国人客に美容院の口コミを書いてもらう
競合店も多数ある中、情報を掲載するだけでは中国人インバウンド集客が見込めないこともあります。大切なのは中国人インバウンドにとって重要な、利用店舗の選定基準となる「口コミ」を増やし、育てることです。一番の近道は、自店舗を利用したお客様に対してショップカードを渡したり、写真映えするコーナーを作って写真撮影、SNS投稿を促したり、口コミサイトに書き込んでもらったりすることです。
美容院ではお客さんと直接、会話が比較的長い時間できるので、仲良くなることもできます。より仲よくなれば、口コミも高評価のものを書き込んでくれるでしょう。
5.中国人インバウンド集客に成功した美容院の事例
実際に中国人インバウンド集客に成功した美容院があります。
先にご説明した口コミサイト・アプリ「大衆点評」に公式登録し、中国人インバウンドへとアピールしたところ、大衆点評を見て来店する人の数が1ヶ月で数十人にも上り、以前より大幅に増加しました。年末など、来客が多いときでは90人ほど、少なくとも20人くらいは来店するようになっていきました。※
大衆点評を導入した後、海外からの来客が増えたことでお店全体の空気とスタッフの緊張感が増し、さらに接客を通してスタッフたちの視野が広がり今後の成長にもつながったという副次的な効果も得られました。※
※出典元
>「中国の方はウォークインが多い」大衆点評を導入した美容室 TONI&GUY(原宿店)
>「最強のアプリだと思います」大衆点評を導入した美容室 BULB
6.まとめ
中国人インバウンドを集客するには多くの中国人が閲覧できるサイトに情報掲載し、さらに口コミを集めることが重要になってきます。大衆点評はそのような意味でも、中国人インバウンドを集客するのに好適なツールです。