近年、中国人インバウンドにおいては「コト消費」に注目が集まっています。そのような中でも特に注目を集めているのが、口コミを活用して「コト訴求」することです。
今回は、近年中国インバウンドによる「コト消費」に注目が集まる背景と共に、口コミ活用の「コト訴求」方法をご紹介します。
1.中国インバウンドの「コト消費」の熱が高まる
中国インバウンドにおいては、これまでの「爆買い」などモノを購入する「モノ消費」のみならず、体験や観光などの「コト消費」が増加しており、徐々に「モノからコト」へとシフトしているといわれています。その現状を見ていきましょう。
1-1.「コト消費」が高まり、FITが増加
中国インバウンドは、今「コト消費」へシフトしているといわれており、「コト消費」が増加することにより、FITも増えています。
FITとは「Foreign Independent Tour」の略称で、個人旅行、つまり団体旅行やパッケージツアーではなく個人が自分で旅行を手配し、海外旅行をする人のことを指します。
観光庁の「訪日中国人消費動向調査」によれば、世界各国からの日本へのFIT旅行者は年々増加の一途をたどっています。中でも中国人FIT旅行比率は、2012年の28.5%から2017年7~9期の60.0%へと大きく増加しています。
一般的にFIT増加の要因は、パッケージツアーなどの決められた旅行ではなく自ら計画し、目的に合った旅行を希望する人が増えたこと、近年のグローバル化により出張や海外駐在などのビジネス用途や、それに伴う家族や知人訪問などの目的で海外に行く人が増えたことなどがあるといわれています。その他にもLCCの参入や、ビザの発行緩和なども挙げられます。
要因の一つである、「目的に合った旅行をしたい」という旅行の楽しみ、つまり「コト消費」を求める人々が増えるほど、FIT旅行者が増えると考えられます。
FITは観光業界、小売業界における近年のトレンドになっており、特に観光業界では従来の団体客対応から個人客対応へと移行していく必要性に迫られています。またFIT旅行者の増加により、モノを売るだけでなく何かしらの「コト消費」を提供することが求められています。
1-2.娯楽サービス費購入率が増加
観光庁の同調査では、いわゆる「コト消費」の「娯楽サービス費」購入率も年々増えていることがわかっています。娯楽サービス費とは、例えば現地ツアー、観光ガイド、ゴルフ場、テーマパーク、舞台鑑賞、スポーツ観戦、美術館・博物館・動物園・水族館などにかける費用のことです。
この「娯楽サービス費」購入率は、2012年の21.5%から2016年の31.6%と、4年間で10%も増加していることからも、「コト消費」が増加していることが分かります。
2.中国インバウンド向け「コト消費」の集客施策トレンド
ホテルや旅館、観光スポット、飲食店や小売店など、日本において中国インバウンドが多く訪れる場所では、集客対策として「コト消費」も視野に入れる必要があります。
そこで中国インバウンド向け「コト消費」に向けた集客施策のトレンドをご紹介します。
2-1.口コミを通じてアピールする
中国インバウンドにとって、特に口コミは旅行計画の大きな決め手となっています。よって「口コミ体験談」を通じてアピールすることで、コト訴求が容易にできます。
例えば「大衆点評」というサイトは、日本版「食べログ」といわれているサービスで飲酒店のほか、ドラッグストアやスーパー、百貨店などの小売店や、ホテルや旅館などの宿泊施設、観光スポットなど多ジャンルの口コミをユーザーが投稿することができます。
口コミや店舗情報以外にも、各種割引チケットやネット予約、デリバリーサービスなどの「特典情報」を確認することもできます。
大衆点評はその店でどんな体験ができるのか、つまりどんな「コト消費」ができるのかを知ることができるサイトといえます。中国のFIT旅行者にとっては非常に参考になっているようです。
この大衆点評では、小売店などの企業側が公式店舗ページを持ち、情報発信することができるためより大衆点評において口コミが促進されます。つまり有効な中国インバウンド向けの「コト消費」施策ツールとなり得ます。
2-2.KOLマーケティングを行う
中国インバウンドに対して「コト消費」を訴求する手段として、KOL(キーオピニオンリーダー)を活用する方法もあります。
KOLとは中国で影響力の強い人物のことを指し、日本でいうインフルエンサーのようなものです。
例えば旅館であればKOLに実際に宿泊してもらい、その体験談をKOL自身のブログやSNSなどに投稿してもらうことで情報が拡散します。これにより、コト消費を中国インバウンドへ効果的に訴求することが可能です。
【参考】
3.まとめ
今後、中国インバウンド施策を実施する際に重要になるのが「コト消費」です。「コト消費」を求めるFIT旅行者からは、ますます魅力的な「コト消費」が求められます。
今回ご紹介した大衆点評やインフルエンサー活用など、コト消費を意識した施策を行い、対応していきましょう。