1.訪日中国人が多く訪れるお花見シーズン
お花見シーズンは訪日中国人が多く訪れる時期のひとつです。
桜の開花時期といえば、日本では全国各地で3月下旬から4月いっぱいにかけての期間となります。4月中、訪日中国人の数はどのくらいなのでしょうか。
日本政府観光局(JNTO)の統計データによると、訪日中国人の数は、2018年7月の約87.9万人、8月の約86万人が最も多くなっており、夏場がトップという結果になっています。それと比べれば、4月は約68.3万人と訪日中国人の数は減りますが、他の月と比べてやや多い傾向はあります。
実際、中国人たちは、4月頃の訪日に向けて、日本の開花情報をインターネットで入手し、情報共有しながらお花見を計画しているといわれています。
訪日外国人向けの案内サイト「japan-guide.com」では、2019年2月時点ですでに2019年の日本の桜の開花情報が掲載されています。それだけ、情報を求める外国人が多いと考えられます。
また、日本貿易振興機構(JETRO)が2018年12月に発表した「中国の消費者の日本製品等意識調査」では、中国人たちの日本でしたいこと第 4 位には「桜鑑賞(44.0%)」がランクインしていました。トップ3の「買い物」「食事」「遊園地、テーマパーク、娯楽施設等で遊ぶ」に次いで桜鑑賞という結果から、訪日中国人の間でいかにお花見が重要なイベントの一つであるか、ということが分かります。
このことから、一年の中でもお花見シーズンはインバウンドマーケティングの大いなるチャンスといえます。
2.なぜインバウンド観光客に花見が人気なのか
インバウンド観光客に花見が人気な理由は、日本独自の文化体験を味わえる点にあります。桜の花は、日本の美的感覚や文化を象徴する存在であり、古くから詩や絵画などの芸術においても愛されてきました。訪日観光客にとって、桜は「日本らしさ」を体感できる象徴的な風景であり、特に春の訪問時期には欠かせないイベントとして認識されています。
また、桜の開花は短期間であり、その「儚さ」が特別感を演出し、一生に一度の体験として魅力を高めています。桜の名所は全国各地に点在しており、各地域ごとに異なる風景や文化を味わうことができる点も人気の理由です。例えば、東京の目黒川、京都の嵐山、奈良の吉野山など、それぞれ異なる魅力を持った桜のスポットが存在します。そして、インスタグラムなどのSNSを通じて美しい桜の写真がシェアされることで、世界中の人々の関心を集め、訪日動機をさらに高めています。
3.訪日中国人に人気の桜スポット
ここで訪日中国人に人気の桜スポットをチェックしておきましょう。
海外版人民日報の記事によると、旅行サイト「Lvmama.com」の統計では、2018年のお花見シーズンにおける最も人気の日本の旅行先は東京、京都、大阪、福岡、名古屋でした。主要都市にはやはり詰め寄せるようです。
一方で、山形県や新潟県などの東北地方の各自治体も、訪日中国人を呼び込もうと力を入れていると言われています。
また中国トレンドExpressが中国ソーシャルメディア上の書き込みをもとに実施した調査では、ソーシャルメディア上で「日本に桜を見に行く」と言及していた書き込みを“場所”に注目し分析したところ、1 位「京都」、2 位「東京」、3 位「清水寺」、4 位「大阪」となっていたといいます。
やはり京都、東京、大阪は強いようですね。
4.訪日中国人が日本でしたいアクティビティ
では訪日中国人は、お花見に訪れたとき、他に何をしたいのでしょうか?
中国トレンドExpressが、日本でお花見を予定している中国人ユーザーに対し、お花見以外に日本で何をする予定かについてアンケート調査を行ったところ、全員が「買い物」と答え、1位になっていました。その他、「日本料理を食べる」「観光」「温泉」も人気でした。
花見目的で来たとはいえ、買い物需要があるという事は、やはりインバウンドマーケティングには狙い目の季節といえそうです。
5. インバウンド中国人観光客の集客方法
インバウンド中国人観光客の集客方法は、彼らの特性とニーズに応じたアプローチが必要です。まず、多言語対応の強化は基本です。店舗のメニューや案内を中国語で提供し、スタッフが簡単な中国語を話せるようにすることで、安心してサービスを利用できます。また、中国ではキャッシュレス決済が普及しているため、AlipayやWeChat Payなどの電子決済システムを導入することも重要です。これにより、支払いの利便性が向上し、顧客満足度が高まります。
また、飲食店や小売店などの店舗運営者は中国最大の口コミサイト「大衆点評(Dianping)」で良質なレビューを集めることが効果的です。大衆点評は多くの中国人が旅行先や飲食店を選ぶ際に利用するため、口コミの評価が集客に大きく影響します。さらに、訪日観光客の興味を引く商品や体験型コンテンツを提供することも効果的です。例えば、日本独自の伝統文化体験や限定商品を用意することで、他の観光地との差別化を図れます。また、中国の祝日やイベントに合わせたプロモーションを行うことで、来日需要を喚起することもできます。これらの施策を組み合わせることで、中国人観光客を効果的に集客することが可能となります。
6.まとめ
いかがでしたでしょうか。3月下旬から4月にかけての桜の開花時期は、中国人が比較的多く訪れるシーズンであることがわかりました。特に花見目的であっても買い物は欠かせないアクティビティであることから、インバウンドマーケティングに力を入れることで、大きな成果が得られると考えられます。
日本の花見シーズンは、インバウンドマーケティングの大きなチャンスです。特に中国人観光客にとって、日本独自の文化である花見は非常に魅力的な体験です。桜の短い開花期間やその美しさが、訪日観光の特別な目的となっています。中国人観光客は、桜の名所である東京、京都、大阪を訪れるだけでなく、買い物や食事、温泉なども楽しみます。そのため、観光業者は多言語対応やキャッシュレス決済の導入を進め、中国のSNSや口コミサイトを活用して情報を発信することが重要です。
特に「大衆天評」は、中国人観光客が旅行先や飲食店を選ぶ際に多く利用するため、良質な口コミを集めることが集客に大きく貢献します。大衆天評を活用して、積極的に情報発信を行い、中国人観光客の関心を引くことが成功の鍵となるでしょう。