1.SNS発信地点ランキング
まずはRJCリサーチによる「インバウンドレポート 2016」から。中国人に限らず、訪日外国人たちがWeiboやTwitterなどのSNSで日本国内滞在中に発信した投稿のうち、約92万件の解析結果データを集計対象として、どのようなスポットが発信地点となったのかの総合ランキングが発表されました。
SNS発信地点ランキング(総合)
第1位 USJ
第2位 東京ディズニーランド
第3位 富士山
第4位 東京タワー
第5位 大阪城
RJCリサーチの分析では、USJと東京ディズニーランドはオールシーズン型であることやSNS投稿したくなるような数々の感動を提供するテーマパークであることがSNS投稿の年間総量を押し上げたとされています。総合ランキングでは、このように日本人でも納得のいく結果になっています。
また、ジャンル別にみてみると、見学スポット部門のTOP3は東京タワー、大阪城、浅草
寺、自然スポット部門は富士山、上野公園、江の島、グルメスポットは築地市場、かに道楽、一蘭、ショッピングスポットは六本木ヒルズ、ダイバーシティ東京プラザ、サンシャインシティとなっていました。
いずれも想像つきやすい結果となっています。グルメスポットの一蘭は福岡県発のラーメン店チェーンですが、そのラーメンのめずらしさや美味しさに加え、2015年4月にISO22000を取得して国際的に食品の安全システムが認められたことも人気の背景なのかもしれません。
2.旅行専門サイト「蟻蜂窩」による人気のスポットランキング
中国人たちは特にどのようなスポットを好んでいるのでしょうか。旅行専門サイト「蟻蜂窩」が発表した中国人の人気スポットランキングでは、次の結果となっています。
第1位 奈良公園
第2位 河口湖
第3位 富士山5合目
4位以下は、江ノ電鉄・鎌倉高校前駅、大涌谷、沖縄美ら海水族館、富士急ハイランド、忍野八海、江ノ島、函館山と続いています。
数ある日本の観光地のうち、富士山が評価されるのは理解しやすいですが、奈良公園と河
口湖がランクインしていたのが気になります。
奈良公園は、天然記念物の鹿と直接触れ合えることが人気の理由となっているようです。また、そもそも鹿は中国では縁起がよいと考えられていることも、わざわざ京都や大阪から足を運ぶ理由のようです。
河口湖は富士五湖の一つに数えられ、日本を誇る観光地の一つであり、人気があるのは特に疑問は感じませんが、これは中国人の富士山人気からきていると考えられています。さらに河口湖はインバウンド受け入れの観光地としての開発も進んでおり、中国系資本のホテルが多く、中国からの団体客も多いことが挙げられるようです。
3.中国で「コト」消費が拡大
ところで近年、中国人の間では「コト」消費が拡大しています。「モノ」を消費するのではなく、体験をして消費をする潮流があります。特に高所得層ほど文化や教育、娯楽などの支出が多く、何らかの楽しみを伴う体験が求められています。
ジェトロのエリアリポートによると、中国では上海市などの沿海部から内陸部の都市まで、体験型消費を満たすスポットが広がっており、例えば「洋書・日本語書籍やデザイ ン性の高い雑貨などを豊富にそろえた複合型書店」、「シネマコンプレックス」、「フィットネスジム」、「英会話や音楽などの教室」、「スケートリンク」、「工作や陶芸を楽しめる DIY(手作り)エリア」などがあるといいます。
日本製の日用品は越境ECを利用すれば簡単に購入できるようになった今、日本の現地に訪れた際に、いかに日本ならではの「コト」消費体験を中国人に提供できるかが重要になってくると考えられています。
4.まとめ
外国人、及び中国人の日本の人気スポットの中には、日本の定番スポットもあれば、日本人にとっては意外なものまで存在していました。これらの中国人に人気のスポットは、今後、コト消費傾向に移っていくと考えられています。