1.物流とマーケティングの関係
昨今、Amazonなどのネットショップが物流戦略を強化しています。日本でもAmazonで何かを注文すると、ほとんどの場合、その注文した翌日に手元に届くということが多いのではないでしょうか。物流において非常に力を注いでいるからこそ成せる業といっても過言ではありません。
顧客中心主義のミッションを持つ、米国のAmazonは物流の管理にMBA取得者などの優秀な人材を置いたり、「Kiva」というロボットを活用して倉庫管理を行ったりしているといわれています。
マーケティングにおいては、よく「4P」として「製品(Product)、価格(Price)、流通(Place)、プロモーション(Promotion)」が取り上げられますが、このうち物流は流通(Place)に該当しており、物流はマーケティングと深い関係があることを意味します。
マーケティングを忠実に実践する企業こそ、物流に力を注ぎ、カスタマーエクスペリエンスを「商品お届け」に至る段階にまで綿密に考えているのです。
2.中国の最先端の物流事情
中国におけるEC物流戦略は、「独身の日」のEC大規模セールの日に、毎年膨大な売り上げをあげている実績を見れば分かる通り、もはや考え尽くされています。2018年11月11日には、物流渋滞が起きなかったとニュースが出るほどです。そこまで効率化された中国における物流は、今や、ロボットなしでは回らない状況になっているのです。
では、実際どんな風に物流がなされているのか、いくつか例を挙げてご紹介します。
2-1.京東集団(京東商城 JD.com)
ECサイト京東商城(JD.com)を運営する京東集団は、2017年に物流事業を独立させており、物流子会社の京東物流が発足。騰訊控股(テンセント)や生命保険の中国人寿保険、投資会社などからの出資を受け、25億ドル(約2,700億円)を調達すると発表しました。京東物流は、自社独自の物流網を中国全土に持ち、注文の90%以上を同日もしくは翌日に配達しています。このことからも、物流に非常に力を入れていることが分かります。
また2018年10月18日より個人向け宅配サービス「JD Express(京東宅配)」を開始しました。基本は京東専門の配達スタッフが行いますが、高速鉄道や空路での荷物配送も行うなど、客のニーズに合わせたさまざまな価格帯とオプションを用意しています。
2-2.アリババグループ
中国EC最大手のアリババグループは、2018年5月31日に、スマートロジスティクスネットワークという配送効率の向上と物流コストの大幅削減を目的にしたネットワークの技術的基盤構築のために、1,000億元(約1.7兆円)以上の投資を行うことを発表しました。
中国全域で当日配達を目指すほか。国外への輸送時間を72時間以内に短縮するといった画期的な目標を掲げました。
物流ネットワークの要素である配達員、倉庫、配送拠点、都市、住宅などのすべてを結ぶという戦略により、物流会社の配送を支援すると述べています。
この大手二社の近年の動きを知っただけでも、驚くほど物流改革が進んでいることが分かります。
3.まとめ
物流は、もはやマーケティングと切り離せない分野になっています。そして物流は顧客へ利便性をもたらすことから、EC事業者にとって決して軽視できない分野です。今後、中国マーケティングに取り組む際には、物流についても注視したほうがよいといえるでしょう。