現在の中国の経済状況
新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、2020年前半において中国経済はマイナス成長にありました。しかし同年7月頃には徐々に回復へと向かい、実質GDPは数ヶ月後には回復しました。
中国政府は、経済対策やさまざまな分野での投資を行い続けています。中国政府は2020年5月より、国内循環を主体とし、国内と国際の3つの循環を相互に促進するという「双循環」戦略を打ち出しました。輸出と投資、そして消費のバランスをみて政策を実施していく方針です。
今後は、景気回復が続く見通しが立てられています。新型コロナウイルスの影響が和らぎ、消費は回復する見込みで引き続き好調に推移するといわれています。
新型コロナで拡大した中国市場とビジネストレンド
続いて、新型コロナで拡大した中国市場とビジネストレンドについて、注目のトピックスをご紹介します。
2-1.オンライン小売りのシェア拡大
新型コロナウイルスの影響により消費者の消費習慣に変化が現れ、オンライン小売りのシェアが拡大しました。EC需要が増えると、物流が圧迫されることが懸念されます。しかし中国EC主要サイトを運営する各社が新型コロナウイルス以前から物流システムを構築してきたことが功を奏し、新型コロナウイルス感染拡大期においても重要な消耗品の配送などがスムーズかつタイムリーに実現しました。
2-2.ライブコマースの活性化
中国の経済に良い影響をもたらした要因として、インターネットを通じてリアルタイムでライブ配信しながら販売する「ライブコマース」と、先にも述べた先駆的な宅配事業が挙げられています。特にこのライブコマースという新しい販売方法は対面販売を自粛せざるを得なくなったコロナ禍においてさらに進展し、今では消費の新たな原動力となっています。
2-3.オンラインビジネスの急拡大
新型コロナウイルス感染拡大初期には、対面販売が難しくなったためライブコマースを含めたオンラインビジネスが急速に広まったことは先述の通りです。さらにオンライン診療やオンライン教育、WeChat(微信・ウィーチャット)による通話など、新しいオンラインコミュニケーションが促進されたのも大きなトピックスです。特にオンライン医療分野ではめざましい発展が期待されています。
2-4.5Gの商用化が加速
新型コロナウイルス対策をしながら日常生活を送り、ビジネスをするにあたって、技術革新は欠かせないことです。中国第5世代移動通信システム(5G)やクラウド、ビッグデータ、AIなどの技術は中国の経済成長の大きな支えとなっています。特に5Gについては、2019年11月の商用サービス開始より官民挙げて推進に取り組んでいます。工場のほか、医療や小売りの分野でも商用化が加速すると見られています。
2-5.越境ECの成長が顕著
2020年上半期(1~6月)の貿易実績について、コロナの影響でモノの貿易額が前年同期比3.2%減となった一方、越境EC貿易が2桁成長を達成しました。
また中国ECの大手アリババグループ傘下の海外向けECサイト「全球速売通(アリエクスプレス)」では2020年3月の新規出店数が前月の2.3倍となり、中国製の家電や玩具、電子製品などについて海外での売り上げが急増したと報じられています。特にスペイン市場では中国製の冷蔵庫の売り上げが8倍、欧米市場ではウイッグの成約額が2倍になったといいます。
まとめ
新型コロナウイルス感染症拡大を受け、中国も他国同様、大きな経済的打撃を受けましたが、早期対策により順調に回復を果たしました。中でもオンライン市場は大きく進展し、以前にも増して活性化しているようです。
中国でビジネスを行うに当たっては、こうしたトレンドに乗って推進することが成功につながると考えられます。