1.中国の動画視聴数
そもそも中国では今、動画はどのくらい視聴されているのでしょうか。
中国互聯網信息中心CNNIC「第41次中国インターネット発展状況統計レポート」(2018年1月31日)によると、2017年11~12月の期間、ネットユーザーの97.5%がモバイルを使用していることが分かっています。これに伴い、動画のモバイル視聴が増加しています。
2016~2017年の中国のモバイルネットにおける各ジャンルアプリの使用率として、2017年12月時点で「映像視聴」アプリのユーザー規模は「ニュース」アプリに次いで、第2位の5億4,857万人となっており、ネットユーザーにおける使用率は72.9%となっています。
「映像視聴」は、その他の「音楽」「ゲーム」「文学」「ネット決済」「ショッピング」などよりもしのいでいることから、中国モバイルユーザーについては動画視聴を好む傾向にあることが分かります。
日本貿易振興機構(ジェトロ)が2018年に発表した「中国の動画配信市場調査」では、動画配信アプリや、SNSと連動したミニ動画アプリ、ライブ配信が人気だと分析されています。
先の同調査では、2017年12月時点でネットの動画視聴ユーザー規模は約5.79億人、ネットユーザー全体の75%に達したとされています。
2.日本企業の中国動画プロモーション事例
このことから、中国で動画プロモーションを実施していくのは有効であると考えられます。すでに多くの日本企業が中国で動画プロモーションを実施していますが、中でも、中国ならではの特徴を押さえて、成功した企業の中国動画プロモーション事例を3つご紹介します。
2-1.コスメブランド
11月11日の「独身の日」、インターネットEC業界が大規模セールを実施するこの日に、日本のコスメブランドが中国EC最大手アリババが運営するECサイト「天猫国際」などの中国向けの越境ECサイトで、中国現地インフルエンサーを起用した動画プロモーション施策を実施しました。結果売上1.5倍を記録するなどの快挙を成し遂げました。
中国SNSで100万人のフォロワーを持つインフルエンサーが、商品を使ったメイクアップやスキンケアの方法を動画で見せるという手法を採りました。動画は複数の媒体合計で視聴回数255万回を記録し、また商品の販売促進につながり売上アップも実現しました。
2-2.生命保険会社
ある日本の生命保険会社は、ハートフルな親子のドラマ動画を配信し、大きな反響を中国で呼び起こしました。親子に残された時間はわずかであり、親と話す時間は貴重であることを訴求したストーリーです。中国は特に家族の絆が強いといわれていることから、大きな反響を生んだと考えられます。再生回数は約500万回を記録しました。
2-3.マタニティウェアやベビーウェアのブランド
ある日本のマタニティウェアやベビーウェアのブランドは、中国で人気のSNSであるWeibo(微博・ウェイボー)において、中国人インフルエンサーを起用したプロモーション動画を配信したところ、動画視聴回数が2週間で150万回を記録したそうです。また、動画配信翌日には、売上が通常の約2倍となり、顕著に効果が出ています。
3.中国動画プロモーション成功ポイント
中国動画プロモーションを成功させるためには、これらの事例のように、さまざまな工夫が必要になります。具体的には、次のようなポイントがあると考えられます。
3-1.信頼感の醸成
中国人ユーザーは本物を求めています。偽物が当たり前のように存在することから、見分けるのに必死なのです。そのため信頼感があることは中国では大前提であり、信頼性が高いほど優位になります。
3-2.生活者に寄り添うなじみあるコンテンツ
中国人ユーザーにとって昔からあり、なじみがあるといった中国における生活者に寄り添う動画コンテンツはポイントが高くなります。
3-3.魅力的な差別化ポイント
中国人ユーザーは、明らかにベネフィットがないと購入を考えないといわれています。競合と比べてどのような点で優れているのか、その強みを動画で積極的に打ち出しましょう。
3-4.広告にも力を入れる
中国人ユーザーは、日本人が思うよりも広告をしっかりと見るといわれています。動画プロモーションを実施する際には、広告にも力を入れましょう。
3-5.中国EC市場のトレンドを取り入れる
猛スピードで成長する中国のEC市場で今、何が流行っているのかをよく見極めることが肝心です。しそしてインフルエンサー活用など、旬の手法を取り入れて実施していくのが有効です。
4.まとめ
中国動画プロモーションを成功させるためにまずは中国での成功パターンをよく知り、さまざまな工夫を行っていくことが欠かせません。今、大いに注目を集めている動画という手法に力を注ぎ、技術と経験を積み上げていくことに決して損はありません。