1.中国電商法とは?
2019年1月1日に、中国で電子商取引を規制するためのルールである「中華人民共和国電子商務法(以下、中国電商法)」が施行されました。これは中国初のECに特化した法律です。
1-1.中国電商法の目的と背景
中国電商法は、EC運営の際の経営条件、納税、処罰などの規定を明確化するもので、消費者保護や知的財産権保護などを目的としています。
規制対象はECを運営する者全般であり、ECモールなどのECプラットフォーム運営者、ECモールへの出店企業、自分の通販サイト運営者となります。これには海外事業者も含まれます。
ECサイト運営者は、政府へと登録申請が必要になり、販売方法の規制や配送責任を果たすなどの対応が必要になります。違反すれば制裁金が科されます。
こうした中国EC規制の背景には、急速に伸びる中国におけるEC市場があります。経済産業省が実施した「電子商取引に関する市場調査」のうち、2017年の「世界の各国別BtoC-EC市場規模」によると、中国は主要国の中でもトップで11,153億ドルとなっており、米国の4,549億ドルをはるかにしのいでいます。また中国の結果は前年対比35.1%で、年々高い成長を遂げています。
1-2.「代講」を規制する内容も
そして中国電商法には、海外で商品を購入して中国国内で販売する個人の代理購入者、いわゆる「代講」を規制する内容が盛り込まれています。中国電商法の目的は、この代講を取り締まることにあると見られています。
2.日本企業への影響は?
中国電商法の施行により、代講が厳しく取り締まられれば当然、代講は減ることが予想されます。
代講はいわゆる日本で「爆買い」をしていた中国人訪日客の一翼を担っていたといわれています。そのため、日本でのインバウンドにおける爆買いにブレーキがかかるなどの懸念がささやかれています。
中国人訪日客をターゲットに物品を販売する日本の店舗等は、影響を受けざるを得ないでしょう。
3.日本企業が取るべき対応とは?
中国電商法の施行により、代講が規制されていくと予想される中、日本企業はどのような対応を取るべきでしょうか。インバウンド、越境EC双方の観点からみていきましょう。
3-1.インバウンドマーケティング
中国人訪日客向けにインバウンドマーケティングを実施している日本企業は、売上が減るリスクがあります。このことから今までとは異なる取り組みをしていく必要があると考えられます。
3-2.越境EC
自社製品を自社が売る形で越境ECに取り組んでいる企業にとっては、代講が減ることはライバルが減ることになるため、むしろチャンスと言えます。これまで以上に力を注ぎ、規模を拡大する、出店数を増やすなどの試みをする良い機会と言えます。
以上のように、越境ECについてはむしろチャンスです。インバウンドマーケティングを実践している事業者は、この機会に本格的に越境ECに取り組んでみるのも良いのではないでしょうか。
4.まとめ
中国電商法は、中国だけでなく日本企業にも影響があります。日本のインバウンドマーケティング及び、越境ECを行う事業者は、チャンスと言える越境ECに積極的に取り組むのをおすすめします。本格的に越境ECに取り組む場合には、中国マーケティングのプロフェッショナルに相談することで、より効率的かつ確実な成果をねらうことができるでしょう。