「爆買い終息」と囁かれてからも、日本で訪日中国人たちを見かけるのは日常のこと。まだまだその勢いはとどまるところを知りません。しかしながら、為替変動などの影響で、訪日中国人たちの意識も変化し、購入する内容も変化していると考えられます。
果たして、彼らは日本でどのような行動をしているのでしょうか。中国人たち愛用のSNSの一つであるWeibo(微博・ウェイボー)の投稿内容とアンケートデータから探っていきます。
1. Weibo(微博・ウェイボー)の投稿データを分析
先日、東京海上日動火災保険株式会社が、SNS上で日本の観光を話題にした外国人観光客の嗜好や動態を探る調査を行いました。訪日中国人に対しては、Weibo(微博、ウェイボー)の中国語投稿データを分析しました。
【対象期間】2015 年 11 月~2016 年 10 月 の1年間
【分析対象投稿数、国・エリア数】英語の Twitter の投稿 736,213 件(英語)、Weibo の投稿 100,128 件(中国語)、合計 836,341 件のデータをもとに世界 50 以上の国・エリアの外国人の日本の観光に関する話題を分析。
国籍ごとに、月別の投稿件数の推移や、「見る」「食べる」「買う」「体験する」などの嗜好、具体的な内容などの分析は興味深い結果となっています。
2. 訪日中国人の関心事1位は「見る」
本調査による訪日中国人のWeibo(微博・ウェイボー)上での嗜好データによれば、「見る」が49%、「体験する」が33%で多く、「食べる」が17%、「買う」が2%と少ない結果になっていました。
特に「見る」が半数近くを占めた点は、米国や英国、及び他のアジア諸国の嗜好と比べて大きく異なっています。ほとんどの国では「見る」よりも「食べる」「買う」のほうが高い割合になっていました。
3. 実際の行動は食事やショッピングが多い
先の結果では、訪日中国人たちの嗜好は意外にも「買う」「食べる」が少ない結果になっていました。実際の行動としてはどうなのでしょうか。
産業労働局の「平成 26 年度 国別外国人旅行者行動特性調査」では、訪日中国人たちの東京都に訪れている最中に最も多く行った行動を知ることができます。そのデータによれば、1位は「日本食を楽しむ」で92.4%、次いで「ショッピング」が90.6%となっています。3位は「街歩き」で86.4%となっており、以下は観光系の行動がランクインしています。
食べる・買うが上位にランクインしていることから、Weibo(微博・ウェイボー)上での投稿による「嗜好」と、「実際の行動」とは大きく異なっています。
ちなみに「ショッピング」が90%を超えていたのは香港、タイ、マレーシアで、その他の英語圏をはじめとした諸国と比べると中国は高い傾向がありました。
やはり中国人は買い物への関心度は他国と比べても高いようです。
4. 東京滞在中の1人当たりの買い物費は約16万円
では、東京滞在中、中国人たちは何にどのくらい費用を費やしているのでしょうか。
同じ産業労働局の調査では、中国人たちの平均泊数は10日となっており、この10日間で費やす支出の総額が231,590円となっています。その内訳は、次の通りです。
土産買物費 161,234円
宿泊費 29,746円
飲食費 29,093円
都内交通費 7,731円
娯楽入場費 2,743円
その他 1,043円
特に買い物に使う費用が16万円にも上っているのは注目です。調査が行われた20ヶ国中、10万を超えたのは中国人だけでした。
5. 訪れた都市で最も多かったのは「銀座」
ちなみに同じ産業労働省局の調査によると、東京都に訪れた中国人がどこへ最も多く訪れたかもわかります。このデータからも、彼らの嗜好や興味関心の方向性を見出すことができそうです。
1位「銀座」73.6%
2位「秋葉原」64.9%
3位「浅草」56.6%
4位「新宿・大久保」52.6%
5位「東京駅周辺・丸の内・日本橋」36.7%
6. まとめ
訪日中国人たちは、Weibo(微博・ウェイボー)上では、「見る」という投稿が多くを占めており、ある種の嗜好を知ることができます。しかし実際は、買い物、食事についても活発に行動しており、決して少なくない数値となっています。