かつては「爆買い」などがブームになり、中国人たちの日本における消費活動は広く知られることになりました。しかし一方で、訪日中国人だけでなく、在日中国人にも、日本における消費活動の特別なパターンが定着しています。
それは、いわゆる「購入代行」を行うものです。今回は、この購入代行を行う在日中国人の「ソーシャルバイヤー」と呼ばれる存在について見ていきましょう。
1. ソーシャルバイヤーとは
中国に住む人たちにとって、日本にいる中国人のうち、「ソーシャルバイヤー」と呼ばれる人たちは、非常に助けになる存在です。ソーシャルバイヤーとは、日本に滞在する中国人で、中国では手に入れられない日本の商品を代わりに購入し、SNSを活用することで、中国に住む人たちに手数料をつけて販売し、利益を得る企業や個人のことです。
ソーシャルバイヤーは、企業として行っているケースもあれば、一時的に日本に滞在している留学生や、日本に住む中国人の主婦などが小銭稼ぎとして行っているケースもあります。
2. ソーシャルバイヤーの主な販売方法2つ
ソーシャルバイヤーが中国人に対して販売する方法は大きく分けて2種類あります。一つは、まず中国人消費者の希望商品をヒアリングしておき、そのヒアリングリストを元に日本で代理購入するというものです。後日、商品の代金と共に購入の手数料を回収します。
もう一つが、先にヒアリングすることはせず、中国人によく売れる商品を事前リサーチし、その人気商品を日本で大量購入した後、ネット上で中国人消費者に転売する方法です。
3. Weibo(微博・ウェイボー)を活用するソーシャルバイヤー
ソーシャルバイヤーは、主にSNS上で購入した商品を宣伝したり、購入代行のやりとりをしたり、C2CのECサイトである「淘宝(タオバオ、Taobao)」における自分のショップへ誘導して商品購入を促したりして活動しています。
中でも多く活用されているSNSがWeibo(微博・ウェイボー)です。
ソーシャルバイヤーは、SNS上で、単に商品を宣伝・販売するだけでなく、中国人消費者の貴重な情報源にもなっています。ソーシャルバイヤーは、日本のどのような商品が中国人にとって人気でおすすめなのか、そして質の高い日本の商品についても熟知しています。中国人消費者は、こうしたソーシャルバイヤーがWeibo(微博・ウェイボー)上などで発信している情報を元に、次回の訪日観光の際の買い物リストに加えます。
また、中国人たちが訪日中、日本の商品を購入した帰国後、同じ商品をリピート購入したい場合にも、ソーシャルバイヤーを通して購入しています。
4. ソーシャルバイヤーにプロモーションを協力してもらう方法も
中国インバウンドプロモーションに力を入れている日本企業や日本の小売店にとって、ソーシャルバイヤーの存在は非常に貴重です。自分の商品を口コミさながらの親近感を持って中国人たちに宣伝してもらえることは、大きな力になり得るからです。
このことから、インバウンドや中国ECのプロモーションの一環として、ソーシャルバイヤーに協力を仰ぎ、活用する日本企業・小売店もいます。
多大な影響力を持つソーシャルバイヤーを活用することにより、ブランディング効果が高まります。日本企業がWeibo(微博・ウェイボー)の公式アカウントを開設し、ソーシャルバイヤーが口コミ拡散しやすい情報源を備えておくことは有効といえるでしょう。
5. まとめ
在日ソーシャルバイヤーは、中国人消費者にとって日本の商品購入の仲介役であり、中国人消費者にとっても、日本企業にとってもメリットのある存在です。
Weibo(微博・ウェイボー)が、ソーシャルバイヤーによって大いに活用されている今、日本企業が公式アカウントを開設し、情報を備えることは意味があることといえます。