1.中国のインターネット利用者数
まずは中国全体を見渡してみましょう。中国のインターネット利用者数はどのくらいなのでしょうか?
中国政府が管轄する中国インターネット情報センター(CNNIC)が2020年9月29日に発表した「第46回中国インターネット発展状況統計報告」によれば、中国のインターネット利用者数は2020年6月時点で9億4,000万人に達し、インターネット普及率は67.0%になりました。
このうち、スマートフォンなどの携帯端末によるネット利用者は9億3,200万人で、インターネット利用者全体の99.2%を占めています。
スマートフォンなどの携帯端末の「アプリ」は、どんな種類が多く利用されているのでしょうか。種類別の利用者数をみると、1位が「通信」、2位が「オンライン決済」、3位が「インターネット検索」となり、多くはSNSをはじめとした通信アプリが多く利用されているようです。
2.SNSのユーザー数の種類
これからSNSのユーザー数を見ていくにあたり、指標となるユーザー数の種類をご紹介します。
2-1.SNSの月間アクティブユーザー数
中国SNSのサービス提供企業が発表しているユーザー数といえば、この「月間アクティブユーザー数」が多いです。日本でもこの指標は広く認知されています。月間アクティブユーザー数は「Monthly Active Users」の略である「MAU」と呼ばれ、ソーシャルメディアやソーシャルアプリなどで適切な利用者数を示す値として使われています。
また、月間アクティブユーザー数と異なる指標に「登録ユーザー数」があります。「登録ユーザー数」は、そのSNSのサービスに登録しているユーザー数を指します。
SNSにおける「登録ユーザー数」には登録はしても利用しないユーザーも含まれるので、いかにそのSNSが人気か、どのくらいの人に実際に利用されているのかを計る指標として信頼性が低くなります。アクティブユーザー数であれば、そのSNSの利用者数がより正確に分かります。
2-2.モバイルアプリユーザー数
SNSの中には、PC版とモバイル版があり、PCとモバイル両方で使用できるものがあります。PC版はパソコンにソフトをインストールして使用し、モバイルはアプリをスマートフォンにインストールして使用するといったSNSもあります。
こうしたSNSの場合、PC版の利用と区別するためあえてモバイルアプリユーザー数のほうを公表している場合もあります。
このモバイルアプリユーザー数も指標の一つとなります。
3.中国SNSのユーザー数
実際、中国SNSのユーザー数はどのくらいなのでしょうか。中国SNS全体のユーザー数と、人気のSNSのユーザー数をご紹介します。
3-1.中国SNSの全体のユーザー数
中国SNS全体では、今、どのくらいユーザーがいるのでしょうか?
CNNICの「第45回中国インターネット発展状況統計報告」によると、2020年3月時点のモバイル向けインターネットサービスの利用者のうち、「インスタントメッセージ」の利用者は約89万人で、全体の99.2%にも上っています。
2018年12月時点では約78万人で95.5%であり、成長率は14.1%でした。
SNSの中でも、インスタントメッセージ機能を持つアプリについては非常に多く使われていることがわかります。
3-2.人気の中国SNSのユーザー数
続いて、中国SNSの中でも人気で、利用者数の多い4つのSNSの月間アクティブユーザー数をみていきましょう。
3-2-1.WeChat(微信・ウィーチャット)
WeChat(微信・ウィーチャット)は2011年にテンセント社によってリリースされたメッセンジャーアプリで、現在中国で最も利用されているSNSです。
テンセントが発表している2020年9月までのデータによると、月間アクティブユーザーは12.12億人となっています。
2015年 5.46億人
2016年 8.06億人
2017年 9.02億人
2018年 10.82億人
2019年9月30日時点 11.51億人
2020年9月30日時点 12.12億人
月間アクティブユーザー数は前年比5.4%上昇しており、順調に伸びていることがわかります。
また2018年にテンセントが発表した情報によると、1日に送信されるメッセージ数は450億回で、1日のビデオ通話数は4億1,000万回にも上ります。
3-2-2.QQ
同じくテンセント社のSNS、QQは、1999年からサービスが提供されています。QQにはPC版とモバイル版の両方があります。
スマートフォンでQQを利用している人の月間アクティブユーザー数は下記と公表されています。
2019年9月30日時点 6.53億人
2020年9月30日時点 6.17億人
前年比5.5%下降しており、着実にユーザー数を伸ばしているWeChat(微信・ウィーチャット)と対照的です。
3-2-3.Weibo(微博・ウェイボー)
Weibo(微博・ウェイボー)は、2009年にリリースされたSINA(新浪・シナ)の運営するSNSです。
2020年の月間アクティブユーザーは5.5億人、デイリーアクティブユーザーは2.41億人です。
2017年時点で年間平均の月間アクティブユーザー数は約3億9,200万人と発表されており、この数値は前年より7,900万人増えています。
そして2020年はさらに大きくユーザー数を増やしました。
その増加の要因として、一時期離れたユーザーが戻ってきたともいわれています。よりシステムを使いやすくしたり、アクティブでないユーザーへの働きかけを増やしたりと地道に努力を続けた結果とされています。また、利用者の好みに合わせた情報配信を機械学習により行ったともいわれています。
3-2-4.TikTok(抖音・ドゥイン)
日本でも人気の高いTikTok(抖音・ドゥイン)は、中国でも人気を博しています。ByteDance(バイトダンス)という中国企業が運営している、2016年からあるショートムービーSNSです。
2020年9月時点で、TikTok中国国内版の抖音(ドゥイン)の1日当たりのアクティブユーザー数は6億人を超えていることが発表されています。
2019年1月の時点では2億5,000万人だったところ、2020年1月には4億人を超え、2020年9月時点では6億人を超えるという、急ピッチの増加です。
実際、他のSNSと比べてユーザー数の増加のスピードが速いといわれています。
4.まとめ
人気の中国SNSには、膨大な利用者がいることが数値に表れています。日本企業にとっても、中国マーケティングにおいて有効な打ち手となるでしょう。
まずはそれぞれのSNSの規模を把握した上で、自社に合ったSNSを選んでみてはいかがでしょうか。