1.WeChat(微信・ウィーチャット)が身分証に
中国でいま、爆発的に普及しているWeChat(微信・ウィーチャット)。2018年3月には月間アクティブユーザー数が10億人を突破したと報じられました。旧正月の期間が後押ししたといわれています。
WeChat(微信・ウィーチャット)はメッセージアプリとしての機能だけでなく、さまざまな機能があり、その中でも、決済機能であるWeChat Payは大きくWeChat(微信・ウィーチャット)の価値を高めたと考えられています。
「友人とつながれる」「最新情報が手に入る」「ECで買い物できる」「支払いができる」などのあらゆることが行えるWeChat(微信・ウィーチャット)が入ったスマホを肌身放さず持っていたくなる気持ちはよく分かります。これに加えて、さらにスマホ文化が進む可能性が高まりそうなニュースが舞い込んできました。
それは、WeChat(微信・ウィーチャット)で「証明できる」、つまり身分証として機能するようになったというニュースです。
この身分証は、中国公安部第一研究所によって国家プロジェクトとして進められていたもの。これまでは身分証カードとして使用されていたものを電子化して、さらにオンライン化したものがこのWeChat身分証です。
顔写真をアップロードしてAIによる顔認証が成功すれば、従来の身分証の提示が不要になるといいます。
2.WeChat身分証が使えるシーン
このWeChat身分証はさまざまなシーンで活用できるようになるといわれています。
WeChat身分証には二段階あり、第1段階の簡易版では、WeChatの小程序(ミニプログラム)というメニューから登録をして顔写真をアップロードすれば使えるようになります。また、さらに上の証明になる「アップグレード版」もあります。認証アプリを用いて、身分証パスワード設定や、身分証カードのスキャンなどによって正式な身分証として機能するといいます。
今後は、このWeChat身分証が、銀行口座開設、新幹線や航空券チケット購入、ホテルのチェックイン時など、実名登録が必要になるシーンで利用されるようになる見通しです。
3.進む中国のスマホ文化
まだまだはじまったばかりのWeChat身分証。これが当たり前になれば、ますますWeChat(微信・ウィーチャット)が身近になると予想されます。
これにより、中国のスマホ文化がまた一歩前進したと考えられます。このような中、中国の“スマホ熱”事情が分かるデータがあります。
ニューヨークのデジタルマーケティングなどの調査会社eMarketerの予測によると、中国において、2018年には一日当たりのテレビの視聴時間よりも、モバイル機器を利用する時間のほうが若干多くなるといます。これはオンラインビデオ、デジタルメディアが中国で旺盛となっているところからきています。
つまり中国ではスマホで動画視聴することが、テレビを見るよりも身近になっているということになります。
中国人がスマホを手放せないのは、WeChat(微信・ウィーチャット)でチャットやSNSの交流を行うだけでなく、動画視聴にも理由があるようです。
WeChat身分証の登場も、この中国におけるスマホ文化においては必然だったのかもしれません。
4.まとめ
WeChat(微信・ウィーチャット)はついに身分証にまで発展しました。今後、さらに中国人の日常に欠かせない存在になっていくであろうWeChat(微信・ウィーチャット)。もはや中国の越境ECやインバウンドマーケティングなどにおいては欠かせない存在といえそうです。
WeChat(微信・ウィーチャット)は、日本人にとってのLINEやFacebookなどのSNSを超える存在であること、WeChat(微信・ウィーチャット)の重要性を、日本企業は今一度認識する必要がありそうです。