1.中国人のお年玉「紅包(ホンバオ)」とは
中国には、春節の前に、目上の人から目下の人へ、大人から子どもへ、もしくは自分の両親や祖父母などに、お年玉やご祝儀を渡す慣習があります。このときに渡すお金のことを「紅包(ホンバオ)」と呼びます。
従来は、中国人にとって縁起の良い色である赤色の紙や封筒でお金を包んで渡すのが通例でしたが、現在ではデジタル送金による紅包が大いに活用されています。
送金ツールは、中国EC最大手アリババのAlipay(支付宝)や、テンセントのWeChat(微信・ウィーチャット)やQQなどが人気です。
2.SNSでお金のコミュニケーションを行う中国人
WeChat(微信・ウィーチャット)の公式データレポート「2016微信数据报告」(*)によると、主にWeChat(微信・ウィーチャット)で使用される機能として、1位は「投稿」、2位は「チャットメッセージ」、3位は「購読」ときて、4位は「紅包(Red packet)/转账(送金)」機能がランクインしています。そして5位は支払いとなり、4位と5位はいわゆるお金のやりとりということになります。
SNSといえば、日本では専らコミュニケーションツールであり、送金や支払いといったイメージが薄いですが、中国ではSNSアプリでお金の受け渡しや支払いについても、コミュニケーションの一貫となっているようです。
*AdverTimes(アドタイ)「2016微信数据报告(2016WeChatデータレポート)」より
https://www.advertimes.com/20170327/article247061/
3.WeChat(微信・ウィーチャット)でお金を送る方法
WeChat(微信・ウィーチャット)でお金を送るためには、「转账(送金)」と「紅包(Red packet)」機能を使います。
この機能を使ってお金を送ったり、受け取ったりするためには、基本的に「WeChatウォレット(微信钱包)」を自分の中国の銀行口座と紐づけておく必要があります。
3-1.「转账(送金)」機能
いわゆる送金機能です。例えば、友達登録している相手であれば、チャットの最中に「转账」と書かれているアイコンをタップし、送金金額とパスワードを入力すれば送金が完了します。
3-2.「紅包(Red packet)」機能
转账機能は、特定の相手一人とのやりとりしかできませんでしたが、紅包は特定の一人の相手はもちろん、グループチャット内にも送金・受取が可能です。
例えば、3~4人のグループチャットを作った後、そのメンバーに同額の金額や、ランダムの金額を送金することができます。春節やバレンタインなど、国を挙げてお祝いするタイミングでは、仲間全員にお年玉をあげるという慣習に基づく機能となっています。
また、WeChatウォレット(微信钱包)では、このほかにもQRコードを発行し、それを相手に読み取ってもらうことで相手に送金してもらうことができます。例えばグループ内での会合の集金や、イベントやフリーマーケットでの金銭授受などの際に適しています。
4.まとめ
日本にもお年玉の慣習はあるものの、まだデジタルでお金を送るところまでは至っていません。こうした日本にはない中国の慣習をよく知ることで、販促プロモーションやブランディングなどに役立てていきたいものです。