越境ECで販売する商品を決めるときに考えたいのが、何が中国人にウケるのかということです。その越境ECの販売商品の助けになるのが、訪日中国人の買い物動向です。
そこで中国越境ECで競合に勝っていくために、訪日中国人の買い物傾向や富裕層のライフスタイルなどを探り、どんな商品にニーズがあるのか解説します。
1.訪日中国人の買い物傾向
訪日中国人はどのような商品を日々、買っているのでしょうか。その動向は観光庁の調査で知ることができます。
2017年7月~9月の訪日中国人の費目別購入率および購入者単価としては以下の結果になっています。
費目 |
購入率 |
購入者単価(円) |
化粧品・香水 |
79.1% |
42,783 |
医薬品・健康グッズ・トイレタリー |
72.4% |
24,484 |
菓子類 |
71.1% |
9,220 |
その他食料品・飲料・酒・たばこ |
61.2% |
12,317 |
服(和服以外)・かばん・靴 |
44.8% |
34,616 |
電気製品 |
28.6% |
29,224 |
マンガ・アニメ・キャラクター関連商品 |
18.3% |
12,701 |
カメラ・ビデオカメラ・時計 |
15.0% |
49,240 |
書籍・絵葉書・CD・DVD |
13.9% |
9,731 |
和服(着物)・民芸品 |
8.3% |
9,428 |
出典:国土交通省 観光庁 平成 29 年 7-9 月期 報告書「訪日外国人の消費動向」
http://www.mlit.go.jp/common/001206329.pdf
2.訪日中国人の所得層
訪日中国人観光客については、どのような層が多い傾向があるのでしょうか。
2-1.訪日中国人の年収ボリュームゾーン
公益財団法人 中部圏社会経済研究所が2017年1月23日に発表した中部社研 経済レポートNo.8では、試算値として全国の月収別訪日中国人観光客数が出されています(2014~2015年)。中でもボリュームゾーンは「月収3,001元~8,000元(54,925円~146,463円)」の層です。
これは、2015年の訪日中国人観光客数423.7万のうち、60.0%の254.3万人です。
同レポートでは、このボリュームゾーンは北京市の都市世帯の中所得層に該当するとされています。
2-2.富裕層と中間所得層
著しく経済発展を続けるアジア圏においては、富裕層、中間所得層が増加しているといわれています。そのような中、中国でも富裕層と中間所得層が伸びているといわれています。
経済産業省は、「2010年の時点で世界最大の人口(13.3億人(2009年))を有する中国は、2009年から2020年にかけて富裕層人口が約1.1億人(7%)、中間層人口は約5.1億人(35%)増加し、低所得層人口が約5.6億人(43%)減となることが想定される。中国は、2020年には富裕層・中間層合わせて11億人となることが予想され、世界最大規模の購買層を有する国として注目される。」としています。
引用:経済産業省「通商白書2010」第3章 第2節 我が国の対外経済政策の方向性より P.293
http://www.meti.go.jp/report/tsuhaku2010/2010honbun_p/2010_03-2-1.pdf
3.越境ECで売れている日本の商品
一方、越境ECにおいては、2017年8月にJETROが実施した調査で、その傾向を知ることができます。
●越境ECにおける日本輸入品購入経験の有無
あると答えたのは67.7%でした。約7割が利用したことがある状況です。
●越境ECで商品を購入する理由
第1位「中国内では店頭で販売されて いない製品だから」44.4%
第2位「日本に旅行をしたときに購入して気に入った製品だから」40.4%
第3位「ニセモノではないから」32.4%
第4位「価格が安いから」30.1%
第5位「注文してから商品が届くまでの時間が短いから」29.8%
●越境ECで購入した商品
第1位 化粧品 48.5%
第2位 食品 41.6%
第3位 医薬品 35.5%
第4位 電気製品 31.5%
第5位 健康食品 27.8%
●今後越境ECで購入したい商品
第1位 電気製品 47.6%
第2位 化粧品 40.9%
第3位 医薬品 32.3%
第4位 食品 29.9%
第5位 健康食品 22.6%
出典:日本貿易振興機構(ジェトロ) 海外調査部中国北アジア課 2017年12月「中国の消費者の日本製品等意識調査」
https://www.jetro.go.jp/news/releases/2017/9c767c469d4a6467.html
4.訪日中国人の購入傾向と越境ECの購入傾向との違い
訪日中国人が日本で購入するものと、越境ECで中国人が購入するものとでは、それほど大きな差はないようです。いずれも、化粧品、医薬品、菓子類が多くを占めています。
しかし思いの他、電気製品がランキングではやや下に位置付けられているものの、「今後越境ECで購入したい商品」のトップに上っていることには注目に値するといえそうです。
5.まとめ
越境ECで販売する商品を考える際、訪日中国人が日本で購入した後のリピート購入を狙うほか、越境ECだからこそ販売しやすい商品を見つけるなども一つの方法です。
この比較を通して、何らかの施策を練るというのもいいのではないでしょうか。