毎年11月11日の「独身の日(シングルデー)」は、中国ECにおいて最大のセールが行われる日です。その売上アップはどの店舗でも見られるものですが、日本の企業の中でも、株式会社ファーストリテイリング傘下の衣料品ブランド「UNIQLO(ユニクロ)」が、脅威の成績を残していることはよく知られています。
そこで今回は、ユニクロが「Tモール(天猫商城)」で日本店舗の売上トップを連覇しているのはなぜなのか、なぜそこまで売れるのか探っていきます。
1. ユニクロ「独身の日」の売り上げ・売り切れ状況
毎年11月11日の「独身の日」は、とくにインターネット通販最大手の「アリババ・グループ」が展開するネット通販サイト「Tモール(天猫商城)」では、数多くの日本企業も店舗を持ち、大きな売り上げを上げています。
Tモール(天猫商城)へは、日本のユニクロも店舗展開しており、毎年、独身の日には日本店舗の中でトップの成績を収めています。その近年の成績は下記の通りです。
●2015年11月11日
・1日限定セールで、6億元以上(約1億米ドル)の売上を達成。(昨年比約2倍)
・全業態4位(昨年5位)、アパレル部門1位(2年連続)を記録。
・24時間で912.17億元(約1兆7,000億円)の取引高を記録。
●2016年11月11日
・11日へ日付が変わった瞬間から2分53秒後に、1億元(約16億円)の売上を達成。モール全店の中で最速。
・10時間後にすべての商品が売り切れ。
2. なぜここまで成果が出せたのか?
では、なぜユニクロがここまで驚異的な成果を上げられたのか、その理由を探っていきましょう。
2-1. 割引キャンペーンを実施
ユニクロは独身の日に先駆け、前売りイベントや値引き額の事前告知などを行っています。11月初頭から徐々に値引き額を明らかにしていく手法を取るなどして、消費者の期待を募らせています。
さらに注目なのは、ECサイト上だけでなく、実店舗でも同じ割引率で提供するなど、消費者にとって嬉しい施策を数多く実施していることです。
2-2. 中国方言ラップで親近感を持たせる
ただ割引で気を引くだけでなく、ユニクロが愛される理由として、中国在住者に親近感を抱かせたことも要因と考えられます。
2016年は「ウルトラライトダウン」という衣類のCMで、広東語や上海語、四川語など中国にある方言のうち、代表的な方言バージョンを6つ作って展開しました。CM内では、ラップの音楽が流れますが、そのラップも6つそれぞれの方言で歌われています。字幕がついているので、耳だけでなく目でもすぐにそれとわかります。その方言を話す視聴者にとっては大いに親近感を得られたことでしょう。
2-3. ネットで購入、店舗受取も可能にした
独身の日には、購買が増えると同時に物流もパンク状態になります。よってネットで希望の商品を購入できたとしても、手元に届くまでに時間がかかることもあります。そんな配慮からか、ユニクロはネットで購入したものを実店舗で受け取ることもできるようにしました。また、実店舗でもネット上と同等の値引きを実施していたため、店舗での追加購入も促進されたといいます。
2-4. Weibo(微博・ウェイボー)をフル活用
ユニクロはただ天猫上だけで宣伝していたのではなく、中国人に親しみの深いSNSツールでの告知も欠かしていません。とくにWeibo(微博・ウェイボー)の公式アカウント上では前売りイベントなどの事前告知を行い、キャンペーンを盛り上げました。
3. まとめ
ユニクロが独身の日に大きな快挙を成したその背景には、中国人消費者に寄り添う配慮がありました。その取り組みは、他の日本企業にとっていずれも興味深く、参考になるものばかりです。
独身の日は必ず売れるから、と安心せず、ユニクロのように徹底した消費者理解と寄り添う姿勢が売り上げを底上げし、強固なブランディングを確立する要となりそうです。